お客様 ページ19
片付けももう終盤。片付けしていると
本当に一緒にいていいのかな、なんて不安な気持ちで
押しつぶされそうになる。
なんでこんな気持ちになっちゃうんだろ・・
幸せなのに、幸せなはずなのに・・・
うぃーーーん・・
ため息で重くなった部屋の空気も吸えたらいいのに・・
掃除機をかけながらため息が止まらないでいた。
ピンポーン
そんな時にチャイムが鳴ってハッとした。
ん?誰だろ。厚ちゃんは実家だよね。
大家さんかな??
がちゃ・・
「はろーう」
「え・・」
・・なんで悠仁が?
優しい笑顔で紙袋を持ち上げた。
「差し入れ!元気してた?」
「え、と、なんで、私こっちにいるって」
どうして悠仁がここに?!
またふたりで会うなんて・・
そんなこともう許されないのに・・
「ふふ・・まぁーまぁー!
そろそろ会いたい気持ち爆発しそうだったから
会えてよかった」
少し強引に「中入ってもいい??」と
玄関に入りドアを閉めた。
「え、ちょ・・ふたりっきりは困る・・よ」
「どうして??・・岩沢さんから手伝ってあげてって
連絡もらったらから問題ないよ?」
「え、なんで・・」
思考が追いつかなかった。
だって厚ちゃんが悠仁とふたりになること、うちにいれることをとても嫌がっていたはずなのに・・・
もしかして・・
「また・・嘘ついて・・ません?
私もう騙されないから」
強い口調で彼を追い出そうとしたのに・・
「ほんとだよ、あの時はほんと、ごめん。
つい・・ね。今日のことは本当だから!
岩沢さん、実家帰ってるんでしょ??
だから俺が代わりに手伝ってあげてって言われてさ」
少し不安要素はあるものの
彼をうちに上がらせた。
「わぁーダンボールだらけだ!」
「あとはそこのだけ。あと2時間後に引っ越し屋さんくるんで、ひとりでほんと大丈夫・・」
「もぉー!甘えてってば!
俺は派遣されてきたんだからなんか、他にない??
俺に出来ること」
悠仁にお願いしたいこと・・
「悠仁とふたりきりだと胸が痛いの。
だから帰って欲しい」
つい私の本音を言ってしまった。
早く踏ん切りをつけたい。
厚ちゃんだけ考えられるようになりたい。
なのに会ってしまったら・・
「・・なんで?
なんで俺といると心が痛いの?」
「なんでって・・それは・・」
「俺のこと・・意識してくれてるってこと、だよね?」
そう言って私をじっと見つめてくる彼に
吸い込まれそうになっていた。
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作者名:miu | 作成日時:2019年11月4日 14時