痛いのは最初だけ３【佐野玲於】 (ページ47)

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ホームに入ってきた電車の風になびく髪と軽く煽られたワンピースの襟元。

"、、、それ、"

大きく見開いた玲於くんの目線の先、、、

一番見られたくないところを一番見られたくない人に..

しかも最悪のタイミング。

これは、違うの。。。

"そんなの付けられてドキドキした？"

違うよ、、玲於くん。。。

繋いだ手のがドキドキするなんて玲於くんは知らないでしょ？...

玲於くんの目が笑ってなくて伝わる体温も怖くなる。

家に帰ったら伝えたいことがあるって言われて、もう覚悟決めたの。。。

私も帰ったら精一杯の笑顔で、エリカちゃんとお幸せに、って。もう出て行くから安心して、って伝えようって。

もう十分でしょ？

相手を間違ってとかじゃなく理由はどうあれ私を抱き締めてくれて、手も繋いでくれて。

私達の関係の中ではこれが限界。きっとむしろ少し越えちゃってるくらい。

欲張って玲於くんに嫌われるくらいならこの関係のまませめて傍に居たい、、、なんてズルイかな。

でももう失うことが一番怖いから。

たぶん、いや、絶対泣いちゃうし立ち直ることなんか出来ないかもしれないけど、一生片思いだって玲於くんが大好きだよ。。本当に大好き。

隠せてるかわからない溢れそうな胸の内を私は閉じ込めたまま。

口数が減った電車の中

玲於『...座れば？１つ空いてる。』

A『、、いい。玲於くん座って。』

最後だから、繋いだ手を離したくなくて座れない。

玲於『そ？じゃ俺もいい。』

その横顔、何を考えてるのかな。

何度も見たことあるはずの横顔、白い肌もその目も瞼のホクロも少し赤い唇も全部が好きって改めて思う。

どんなに近くに居ても埋まらない孤独感。。

玲於『...何？』

こっちの視線に気づいてん？って顔。少し眉毛が上がる顔もそれだけでキュンてしちゃう。

そしたら急に玲於くんはケラケラ笑いだして

玲於『鳴ったの聞こえてっから。』

えっ！？私のキュンて音聞こえた？どうしよ。。何で？地獄耳？

玲於『今お腹鳴ったじゃん。腹減ったんでしょ？』

ぐはっ。。キュンじゃなくてグゥーだった。

確かにお腹は空いてるけど、、、本当に私のお腹ってタイミングがいつも間違ってる。

玲於『お前のそういうとこ俺すげー好きだわ(笑)』

A『もぉ、バカにして！』

...好きなんて簡単に言わないでほしい。

また心臓が暴れてる。