痛いのは最初だけ３【佐野玲於】 (ページ19)

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引っ越してからも俺は忘れたことなんてない。

でも忘れなきゃって思ってたから色々自分の中で過去にしたつもり。

季節が何回も変わって、ダンスに夢中になったり、必死にバイトしてお金も貯めた。

お金を貯めた理由はまたいつ引っ越しをすることになっても今度は自分でどうするかを選択出来るように。

もう独り暮らしが出来ない中学生じゃない。

海外に行くことは魅力的だった。俺も海外でダンスしたい。でもあと２年、中途半端が嫌だったから残って大学行くことにしたし、本当たまたま大学も近いしこのへんなら住んでたから安心だなって。そう思っただけでこっちに戻って来た。

Aがどうしてるか知りたいような知りたくないような。。。そんなことも考えなかったわけじゃない。
でももう何年も経ったし過去にそんなことあったねなんて笑って流せるつもりだった。

少しの期待と不安を隠して再会した日

Aにその頃の記憶はなかった。

母親が亡くなる前後の記憶も一緒に。むしろ俺のことすらあんまり覚えてない。

母親の死と俺の引っ越しがあまりにもショックすぎてそこらへんの記憶がないって父ちゃんに言われた。

思い出してほしいっていうのは俺のエゴ。

思い出したところで何になる？

俺は何を期待してるんだろう。

またAを傷つけるかもしれない。

、、、今じゃもう守ってくれるやつが居るのに。

自分が押さえられねぇんだよ。

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玲於『...あの日、引っ越す日にAがさ、、泣き止まなくて、泣かないでって言ったんだよ俺。』

A『、、うん。』

玲於『でも無理だったから、、、』

A『、、うん。』

玲於『...泣き止む魔法使った。』

A『、、泣き止む魔法？』

いつも泣いてるとチョコベビーくれた玲於くん。
でもあの日は確か、、、くれたのはチョコベビーじゃなくて、、

あ、、、目を閉じたら思い出せそう。。。

あれ？そういえば、、

確か玲於くんは泣いてる私のほっぺに、、

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、

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玲於『...A？』

隣りにいる静かになったAの顔を覗いたら、閉じた瞳に規則正しい呼吸。

寝てんじゃん。。。

玲於『今寝んのかよ、、、』

ねぇ俺勝っちゃったよ。いいの？

言うこと何でも聞くんだよ？

亜嵐くんなんか好きになんないで、、、

なんて。。ね

もうすぐ見れなくなる寝顔を眺めて愛しさを隠しながらAの髪をそっと撫でた。