痛いのは最初だけ３【佐野玲於】 (ページ2)

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亜嵐『自分家、、やっぱ帰りたくない？』

A『、、帰らなきゃ。私が居ていい場所じゃないから。。。帰らなきゃいけないけど、あんなに家近いのに帰ったら二度と会えない気がして、、』

亜嵐『いつでも会えるよ。。。玲於はAちゃんを大切に思ってるし、いつでも守ってくれる。』

A『、、ううん。

玲於くんはきっとお兄ちゃんとして、、、
たぶん私のお母さんが亡くなったこともあって、守ってやらなきゃって思ってくれてたのかもしれない。

でももう守ってやれないって。。。守れるのは俺じゃないって。

この前...もう責任持って預かるってお父さんとした約束も守れそうにないし、お兄ちゃんにもなれないってハッキリ言われたの、、』

Aちゃん、て呼ばれるまで亜嵐くんの方見れなかった。

亜嵐『......俺じゃ代わりになってあげられないかな？
、、何かあったら頼ってほしいし、泣いてたら笑顔にしてあげたい。魔法は使えないけど、Aちゃんを守るって約束出来るよ、、。』

それなのに、そんな亜嵐くんの表情後ろの夕焼けで陰になってよくわからない。

何でこんな優しくて私なんかを好きって言ってくれてお兄ちゃんじゃないのに守ってくれるって言う亜嵐くんに私は違う人の顔ばっかり思い浮かべてるんだろう、、、

きっと亜嵐くんを好きになれたら泣くことも苦しくて痛いこともないのに。。

亜嵐『、、、お兄ちゃんとして。』

A『、、え？』

絞り出した亜嵐くんの一言。

亜嵐『、、、玲於がお兄ちゃんになれないなら... 俺のこと、お兄ちゃんだと思ってさ。。ね？』

A『亜嵐くん、、、』

亜嵐『弟と姉ちゃんはいるけど妹も欲しかったんだよね！あっ、こんな兄ちゃん嫌だ？(笑)』

いつもの明るい声

A『...ううん。亜嵐くんがお兄ちゃんなんて、、贅沢だよ。亜嵐くんみたいな優しいお兄ちゃん、どこ探してもいない。』

亜嵐『はは、、、うん。じゃあ兄ちゃんに何でも甘えて？(笑)』

私も兄妹の立場でもいいから玲於くんの傍に居たいなんて思ってて、、
もしかして亜嵐くんも同じ気持ち？

それならお兄ちゃんとしてなんて言うの辛いはずなのに。。。

同じ痛みだけどお互いじゃ消化出来ない

金木犀の香りと、掛けられた上着からする亜嵐くんの匂い。
亜嵐くんの目尻にシワ寄せた笑顔も今は苦しくて。

一面オレンジの絨毯に写し出された私の影だけとても冷たい気がした。