王子なんてくそ食らえ２【佐野玲於】 (ページ9)

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トイレを出て真っ直ぐ進んだ通路を左に曲がった突き当たりが皆のいる部屋。

通路を曲がった所に誰かが立ってた。気づくのが遅くて軽くぶつかる。

A『ｷｬｯ。。。ごめんなさい。』

涼太『あ、ごめん！ぶつかるつもりなかったんだけど。。。怪我してない？』

A『涼太くん！？う、うん。ごめんなさい、私がちゃんと前見てなかったから。涼太くんもトイレ？』

涼太『いや、、、Aちゃんさ、ちょっといい？』

涼太くんに手を引かれて通路から離れた階段。

涼太『やっぱり気になって。どうしてそんな顔してるのか。』

A『え。。。私、、どんな顔してる？』

笑顔作ったはずなのに。まだちゃんと笑えてないのかな。

涼太『無理にそうやって笑わなくていいから。何かあったら言ってよ。

たまには俺も頼って。』

A『ありがとう。無理してるつもりはないんだけど、涼太くんにはわかっちゃうんだね。私より私に詳しい？(笑)』

涼太『好きな子だから...見てればわかるよ。俺結構頑張ってるのに全然気づいてくれないけど。』

A『、、、え？』

好きな子？私？嘘でしょ！？

涼太くんが？

涼太『玲於なんでしょ？Aちゃんにそんな顔させてるの。

俺だったらそんな顔させない。

...俺じゃダメ？』

すごく優しく涼太くんに抱きしめられた。

どうしたらいいかわかんなくて、涼太くんが何で私なんかって信じられなくて、体が動かない。

涼太『、、、Aちゃんが玲於を好きなのは知ってる。』

A『な、なんでそれ///』

涼太くんがゆっくり体を離した。

涼太『だから、見てればわかるって。

知ってるのに今こんなこと言ってAちゃんを困らせてるのもわかってる。

、、、今は玲於を好きでいいから、それでもいいから俺のことも少しは意識してよ。』

A『涼太くん、、、』

自分が好きな人が他の人を好きってわかってて、それでもいいからって言う涼太くんの顔はさっきも見たあの悲しそうなせつない顔だった。

私だったら、、、もし玲於が誰かを好きってことを知っていたら、それでもいいって言えるかな。。。

その前にきっと心臓は苦しくて苦しくて止まっちゃうかも。

私なんかよりよっぽど辛い顔した涼太くん。

こんな王子様みたいな涼太くんに告白されてるのに、私なんかを好きって言ってくれてるのに、嬉しいって思うより涼太くんの辛い気持ちが痛いくらい伝わる。