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ごめんね ページ7

「おいしい?」


『うん、すっごく』


「そ。ならよかった」








聿奈が働けるようになるまで、随分いろいろと大変だった。


義務教育すら受けていない聿奈は、特別に政府から出された試験をあれこれと受けて、それでやっと中卒までの資格は取ることができた。

国としてもこんなのは特例中の特例で頭を抱えたことだろう。





それにしても18で俺たちのところへ戻ってきたとき、聿奈はほとんど年相応に高校卒業レベルの知識は知っていた。


微分積分を知らないとか、細胞分裂の仕組みがわかんないとかそうゆうのを無視すれば、普通に普通の教育を受けて来たかのように見えた。





二宮は・・アイツがどんな男だったのかはよくは知らないが、どうやら世間一般の親並みに、それなりに熱心に妹を教育していたようだった。








『あ、そうだ。翔くんの大学時代の友達にさ、大野くんて人いたでしょ?私こないだね、』








店を出て街中を歩いている間、聿奈は他愛のない話を続けていた。


俺はそれを頭の隅で聞きながら、またひょっこり顔を出した「もしあの時‥」を必死で噛み砕いていた。


だけど今度現れた「もし」は、いつも考えていた「もし二宮がいなければ」ではなかった。





もし、聿奈があのまま俺たちのところへ帰ってこなかったら・・


もし、兄妹として再会したのでなければ・・





目の前にいる聿奈、いや‥「Aちゃん」を好きになることも許されたのかな。








『それでね、すっかり大野くんだと思ってたのに、声かけたら全然ちがう人で‥』


「あんさあ聿奈、」


『・・え?nんんっ…』








15年間どっかに行ってたお前が悪い。

15年間俺と家族の縁を切ってたお前が悪い。





本当は・・・ごめんねって、言えないだけ。

好きになってごめんねと‥素直に謝れないだけだ。

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海月(みつき)(プロフ) - くま子さん» こんにちは。応援ありがとうございます♪ (2012年10月2日 20時) (レス) id: 2c16506613 (このIDを非表示/違反報告)
くま子(プロフ) - はじめまして‖格埖圓辰討泙(*^^*) (2012年10月1日 23時) (携帯から) (レス) id: 88e5ed9d1f (このIDを非表示/違反報告)
海月(みつき)(プロフ) - 和汰。さん» 初めまして。嬉しいコメントありがとうございます。前作とは大分雰囲気の違うものになっていますが気に入っていただけたなら幸いです。今後ともどうぞよろしくおねがいします! (2012年9月30日 20時) (レス) id: 2c16506613 (このIDを非表示/違反報告)
和汰。(プロフ) - 初コメです。すごく切なくて、泣きそうです!!続きがとても気になります!!「ねぇ」とか…から読ませてもらってますが、海月さんの作品、とっても好きです!頑張ってください。 (2012年9月30日 14時) (レス) id: da035efaea (このIDを非表示/違反報告)
海月(みつき)(プロフ) - ルナ(*'-'*)さん» いつもありがとうございます。にのも翔くんも主人公ちゃんもみんなツライ心を抱えてます。ここまでの長期誘拐は珍しくても実際にこうゆう事件は起きているでしょうから、真摯な気持ちで作品作りに臨みたいと思っています。応援ありがとうございます、頑張ります(^^) (2012年9月29日 23時) (レス) id: 2c16506613 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:海月(みつき) | 作成日時:2012年9月29日 13時

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