【 夜明け の 蜉蝣 】 I don't know what shall I do...

少年と男 ページ3

忘れてもいいよ、なんて・・・そんな優しい言葉はかけてあげられないよ。


１５年間待った可愛い妹との再会は、思っていたよりもずっと残酷で、ずっと現実的だった。


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「今すぐにでも会いたいよ‥またどこかへ行っちゃいそうで‥怖いんだ・・・」


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裁判の時、長い間抱えてきたこの痛みと苦しみをやっと犯人にぶつけられると心が躍ったのを覚えている。


だけど実際に法廷に現れたのは、俺より一つ年下の・・・２３の若い男の姿だった。


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彼がなぜ聿奈を誘拐したのかは結局わからず仕舞いだった。


検察官が再三それを聞いたが、彼は裁判が終わるまでそのことを一度も語ろうとはしなかった。


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あとで聞いた話では、彼は事故で両親と妹を失くしていて、彼自身も長い間生死の境を彷徨うという経験をしたらしいのだ。


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まだ現実と夢の間をふわふわしていた８歳の少年は、あの保育園で聿奈を見つけたときにふと妹のことでも思い出したのだろうか‥。


実際に、「A」と言う名前は彼の実の妹の名前だった。


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少年がしたことを咎めるつもりはない。


だけど俺は法廷に座る男のことを許すことはできなかった。


今となってはもう・・過去の話だが。


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だから最近はあの澄んだ瞳を思い出すにつけて、聿奈を誘拐したのが乱暴目的の別の男じゃなくてよかったと、そう思うようにして彼を許すことにした。


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『会いに行くね‥ 明後日の日曜日・・翔くん空いてる？』


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