【d!】世界を拒絶する前のいくつかの約束【syp】 (ページ6)

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「そんなにその大学行きたいん？」

「……うん。『DiVAR』みたいな技術を学べるみたいなの。もしかしたら、私と同じような人の手助けになれるかもしれない、でしょ？」

　姉さんの目には、力があった。閃くような、輝きが宿っていた。

　誰かの、それも自分のような誰かの役に立つかもしれない。自分のような誰かを救えるかもしれない。
　それは、自分の無価値さを信じて疑わなかった姉さんには、蜜のように甘い誘惑なのだろう。

　それも、たまらなく悔しかった。
　俺にとって、姉さんは何にも代えがたい価値を持つ。なのに、姉さん本人はそんなのちっともわかってくれやしない。むしろそんな価値などない、って否定すらする。

　それは、まるで自分の思いまで否定されたようで。

「ショッピはさ、何を勉強したいとか、何になりたいとかあるの？」

「そんなもんない」

　姉さんを助ける。

　それ以外の目的など、持ったことがなかった。
　それ以外のことに、意味を、価値を、見出したことなどなかった。

　姉さんの“目”になれない俺に、なんの価値がある？