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なにをすることもなく、ぼーっと過ごした休日。
家路につく途中で、サイレンがやたらとたくさん聞こえてきた。
音を目で追うと、突然、数十メートル先で爆発音がとどろく。
「え……？」
黒煙が高々と上がり、青空を汚していった。あまりに急なできごとに、脳がついていかない。
あそこは、たしか大きな化学工場があったはずじゃ――
「キャーー！！」
「爆発だ！」
「逃げろ！」
人々の悲鳴で、ハッと現実に引き戻される。
そうだ、逃げなきゃ、ていうか通報――
「臨時ニュースをお伝えします、臨時ニュースをお伝えします」
スマホが突然点灯し、ニュースキャスターの姿が映った。
「現在DiVARのサーバーが攻撃を受け、深刻なエラーが発生しています」
ドン！ とまたも爆発音がとどろき、黄緑色の稲光が閃く。プラスチックを燃やしたような、実験が失敗したような、嫌な臭いがあたりに立ちこみ始める。
なにか恐ろしい化学変化が起こってしまったんじゃないか。そんな恐怖を抱かせるに十分な、えづきそうな臭いが鼻を突く。
「利用者の皆さんは絶対にDiVARに接続しないでください。現在接続している方は今すぐシャットダウンしてください。発生している深刻なエラーの人体への影響は未知数です！」
道行く人々は、みんな逃げ惑うように走っていた。
すぐ隣の道を、サイレンを響かせる救急車が通り抜ける。何台ものパトカーと救急車、消防車が行き交う。
サイレンがうるさい。頭がガンガンする。
空が黒煙で暗くなっていく。はるか上空で、黒い鳥が地面に落ちていくのが見えた。いや、あれは鳥じゃなくて、飛行機じゃ――
「繰り返します。本日１５時、DiVARのセントラルサーバーが攻撃を受けました。政府は一連のテロ攻撃の可能性もあるとして、シャットダウンを呼びかけています。」
災害。
非常事態。
誰が見てもそうだとわかる光景なのに、不思議と私の頭は冷えていた。
「繰り返します！ 命を守るために、今すぐDiVARからシャットダウンを――」
「全部姉さんのせいやで」
続く (更新停止中)
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今日の弟
「姉さんどこ行くん？ もう帰る時間やで。ほら、手」
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作者名：よぞら | 作成日時：2023年11月15日 22時
