【d!】世界を拒絶する前のいくつかの約束【syp】 (ページ14)

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　こんなに陰鬱な気分で迎える休日は、初めてかもしれない。

　空はうっとおしいほどに快晴。雲ひとつなく、青々と澄み渡っている。

　こんな日は、ショッピとちょっとしたピクニックに行っていたっけ。
　私の手を引くショッピの手の温かさ、さんさんと降り注ぐお日さまの暖かさ。そればかりを思い出させられる。

　何気ない日常の一コマは、近すぎてその大きさに気づけなかった優しさは、もうひどく遠く、手の届かないところに行ってしまった。
　この公園へ、私を連れて行ってくれる人はもういない。

「お嬢ちゃん、この街から離れた方がええで」

　ふいに話しかけられ、声の方を見る。
　金髪碧眼のものすごいイケメンがいた。大学生くらいだろうか、ちょっと年上に見える。全く見覚えがない顔だ。誰だろう？

「そのデバイス、DiVARやろ？」

「えっ……あ、はい」

「視覚補助は一番ハッキングしやすいって知っとる？」

　ハッキング。最近騒がれているニュースだ。

　DiVARはたしかに便利だが、反対する人々もいる。
　DiVARは良くも悪くも、既存のものを破壊した。眼鏡や補聴器などが代表的だが、不自由をカバーする製品は、もうすぐ全てDiVARに置き換えられるだろう。

　そうした既得権益を守りたい層だけじゃない。DiVARのような存在は、監視社会の基盤そのものだと糾弾し、DiVARを排除しようとする勢力もいる。