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「ふふん、聞いて驚きなさい。今日から一人で下りてみせる！」
……今まで、私は本当にたくさんの負担をショッピにかけてきた。
両親も、全盲の姉を支えることを弟に望み、実際に様々な介助をさせてきた。
私の世話をするせいで、我慢してきたこと、諦めてきたこと、ショッピにはそういうのが本当にたくさんあったと思う。
そういうことを謝罪しても、優しいショッピは「別に、こんなの大したことやない」なんて飄々と言った。
そんなことはない、そう言わせることすら、ショッピにかけている負担の一種だ――そう理解するのに大した時間はかからなかった。
もはや、自分自身の罪悪感をぬぐうために、ショッピに謝っているようなものだった。
私は物心ついたころから、ずっとずっとショッピに助けられてきた。おはようからおやすみまで、一番近くに、一番長く一緒にいてくれた。
だから、情けないことに、ショッピの助けがないと何もできない。
そんな自分が心底嫌になってしまった。
そんなときに出会ったのが、視界共有デバイス。通称『DiVAR』。
拡張現実――ARの技術も使われているとかなんとか。
詳しい仕組みはよくわからないが、私はこの都市のデータベースに接続し、データから再現された世界をこの目に――と言っても脳に直接作用しているので、水晶体に映っているとかではないらしいが――映しているのだ。
これさえあれば、ショッピの負担をいくらか減らすことができる。ただ助けられるだけの、全盲の姉ではなくなる。
そう期待して、希望を抱いて、このデバイスに飛びついたのだが――
「……一人で？」
ショッピの反応は、予想に反してひどく淡白なものだった。
今日の弟
「姉さんどこ行くん？ もう帰る時間やで。ほら、手」
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作者名：よぞら | 作成日時：2023年11月15日 22時
