> 爆弾魔1 ページ10
後方から突然ふってわいた怒号に、思わず振り返る。
フェンスの中からこちらに怒鳴ってきたのは、ゾムとシャオロンだった。二人の手にはナイフが握られている。
コネシマの案内によれば、二人がいるのは演習場だ。
フードから露わになったゾムの額には、汗で髪が張りついている。
隣のシャオロンも同じだ。息を切らし、声を荒げている。
戦闘モードで殺気立っているところに、さらなる燃料が投下されてしまったらしい。
「おい!! 無視すんなシッマァ!」
「クソチワワ! こっち来いよ明日立てなくしてやんよ!」
ガンガンとフェンスを掴んで揺らす二人。収監された囚人のようで、どうにも笑いを誘ってしまう。
コネシマも同じなのか、その頬は緩みだしている。
彼は私の方を振り返り、
「俺はな、こいつらとずっとバカやってたいねん」
そう言って、笑った。
屈託のない、少年のような笑顔だった。なんの虚飾もなく、彼が本心からそう思っていることがわかった。
心臓をぎゅっと鷲掴みにされたような、呼吸がうまくできなくなるような感覚に陥る。あまりに純粋な感情にさらされると、人間はこうも動揺してしまうらしい。
彼の心の繊細な部分に、本当は触れてはいけないのに、触れていいよと許されて、触れたような気がして。
……あぁもう、本当にキャパシティーオーバーだ。
「ひゃ!?」
「俺Aとだいぶ仲ようなったわ!」
「はああああ!? 何肩組んでんねん!?」
「離れろや!! Aちゃん嫌がっとるやろが!!」
無遠慮に肩を組まれているせいか、コネシマの顔が近い。
ゾムとシャオロンのガンガン! とフェンスを揺らす力がさらに強くなり、それに呼応するかのごとく、コネシマの笑い声もより高らかになる。うるさい。
それに密着している恥ずかしさで、体温が急上昇している気がする。しかしがっちり肩を掴まれており、ちょっとやそっとの力では抜け出せない。鍛えているのか、男性的な腕は筋肉のすじが見えた。
あぁもう、どうやって逃げよう……
ドッカーーーン!
今日の部活
豚をなでていたら書記長が「なでてる姿を見てるだけで癒されるわぁ」とニコニコしています。
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よぞら(プロフ) - まも。さん» コメントありがとうございます!文才だなんて恐縮です…(照)ですがそのようにお褒めいただけて嬉しいです!天使モードのtn氏のやわらか〜いほわ〜っとした感じを出したかったので嬉しいです…!引き続きお楽しみいただければ幸いです! (3月11日 13時) (レス) id: 5ed934123e (このIDを非表示/違反報告)
まも。 - 最初の「ふわ、と」で文才が開花しすぎて発狂しそうです。好きです。文才でバカボコ殴りつけられた気分です。好きです。陰ながら応援させてもらいます。 (3月10日 17時) (レス) @page1 id: b9c9a804fc (このIDを非表示/違反報告)
よぞら(プロフ) - なべるさん» コメントありがとうございます!万人受けはしないかも…と思っていたので、神だなんて言っていただき飛び上がるほど嬉しいです!!おそれ多いですが、引き続き更新がんばります! (12月9日 16時) (レス) id: 5ed934123e (このIDを非表示/違反報告)
なべる(プロフ) - 設定や文の書き方とか凄い好みでめっちゃ面白いです! 本当に神作品…もっと伸びてくれ… 更新頑張ってくださいね… (12月8日 20時) (レス) @page24 id: 41846b4a21 (このIDを非表示/違反報告)
yoakemae(プロフ) - 爛々炯々さん» コメントありがとうございます!なんと、初日からとは……!そのように言っていただきとても嬉しいです!!引き続き更新頑張ってまいります!! (10月27日 22時) (レス) id: 281ccc1f99 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よぞら | 作成日時:2023年10月9日 21時