【d!】元NPCはハッピーエンドを望まない

〔例外処理を検出しました〕 ページ32

「……なんでトントンと？」

昨日ぶりに聞いた声に話しかけられる。
隣の席を見ると、シャオロンだった。昨日とはうってかわって、その表情に明るさはなかった。頬杖をついて、目はハイライト消え気味のジト目。口をとがらせ、不満極まりないといった顔をしている。

「あ、えっと、いろいろあって、書類のこととか！」

咄嗟に「正直に言うとまずそう」と思い、適当な嘘をつく。

「……ふーん」
「て、ていうか隣なんだね！ よろしくね！」
「……な！ めっちゃ嬉しいわー！ 俺今年の幸運使い切ってもうたかも」

無邪気に笑うシャオロン。キラキラした笑顔が眩しい。

「大げさだよ」
「……せや、隣の席なんやから、学年も違うヤツなんか気にせんくていいはずや……」

と思ったら、ボソボソ声量を落とすシャオロン。目は陰がかかったものに戻っている。なんか、雰囲気が怖いんですが？

「……シャオロン？」
「ん？ これからよろしくなー！」

またニコニコと笑顔に切り替わるシャオロン。表情がめちゃくちゃ黒かったように見えたが、気のせいだろう。そう信じて愛想笑いを返すが、内心ハラハラである。

え、これまさか早々にヤンデレ化ですか？

昨日の今日なので、生徒会のメンバーと対峙すると頭の中でサイレンが鳴るようになった。

この男、ナチュラルに抱きついてきそうな雰囲気を醸している。「えー？ 友達やん俺ら？ そんな意識すんなって笑」などと言って、友達の仮面をして迫ってくる戦法をとってきそうである。
――などと根も葉もない妄想を繰り広げていると、

「うりゃうりゃ」

突然、シャオロンが前の席に突っ伏す金髪に、マーカーのキャップ部分をぐりぐりを押し当てた。

「んあっ！？」
「コネシマ、もうすぐ予鈴やで」
「あ……おー」
「なんや、元気ないやんか」
「え！ ほうか？」
「いつもがうるさすぎるだけか……」
「なんやと！？」

どうにも小型犬同士の争いにみえる二人に、「昨日地震あった？」と聞いてみた。二人は首をかしげ、そんなんあったっけ？ とピンときていない様子。

予想はできたが、やっぱりか……。

断章　視点：書記長→←３

今日の部活

豚をなでていたら書記長が「なでてる姿を見てるだけで癒されるわぁ」とニコニコしています。

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