【d!】元NPCはハッピーエンドを望まない

追記：〔実績《転校初日》が解除されました〕 ページ28

「あっ、Aさんおはよう」
「……オハヨウ、ゴザイマス」

朝のだるさと眠気が吹っ飛ぶ。
その原因となったのは、扉を開けた瞬間、目の前にいた青年。

赤いマフラーを風にたなびかせ、朝陽を受けた黒髪に天使の輪が輝く、副会長その人である。

骨太さを感じさせる輪郭と、太めな眉毛はどこか浮かない表情を形作っていた。黒縁眼鏡の奥で、ガーネットの瞳がなにやら思いつめている。
……なんでこう、生徒会の面々は顔が良すぎるのか。朝から見惚れてぽけーっとしてしまうではないか。

覚悟を決めて、玄関を出る。

道に立っていたトントンさんの隣にまで歩いていくと、改めて背が高く、がっしりしていることがわかった。話すとしたら、ちょっと見上げるようになる。
この体格差は、勝てない。
もし昨日のゾムみたいに押さえつけられたら――大きくて厚みのある手のひらに捕らえられて、私を余裕で追い越す背丈で壁際に追い詰められたら、抵抗する気すら失せるかも……

なんて頭によぎって、かぁっと顔が熱くなる。昨日あんなことがあったので、変な妄想が浮かんでしまった。

「昨日のこと聞いたんや。うちのもんがホンマに申し訳ない」
「え！ ……あっ、えぇと」
「心配なって来てしもうた。学校まで送らせてくれんか？」
「あ、え、そんな」

全然言葉が出てこない。トントンさんが眩しくて(実際に朝陽も眩しい)、ものすごいコミュ障みたいなリアクションになってしまった。

というか、なんで私の住所がわかったんだろう。まあ転校の書類とかで見たのかな。



それはそうと。

なんと、ゾム本人からの自白があったらしい。
なお、鬱先生の件はゾムから聞いたトントンさんが鬱先生に詰問して発覚した模様。同じようなことがないよう、ここまで来てくれたという。

モーニングコール、あるいは、＿＿→←断章　視点：排除済脅威

今日の部活

豚をなでていたら書記長が「なでてる姿を見てるだけで癒されるわぁ」とニコニコしています。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す