脅威的ティータイム ページ21
「チィーッス!」
「……こんばんは」
「お届けものやで!」
入れろという言外の言葉に、思わず身構えてしまう。今行きます、と答えて玄関を開く。現れたのは、緑色のツナギに着替えたゾムだった。
「先生から。置きっぱやったって」
「……あっこれは……」
書類を手渡される。なんと、転校に関する結構重要な書類を置き忘れていた。
「ありがとう、助かったよ」
「どういたしまして! あ〜届けたら疲れたわ、茶でも飲みたいなァ?」
「……お茶、出させていただきます」
「おっ! ええの? ご両親にも挨拶せなな」
「今いないんで、お気遣いなく」
靴をそろえて入ってくるゾム。意外にこういうところはマジメなのかもしれない。
お茶の準備をしていると、
「……ナンデスカ」
「いや……なんかなぁ……」
ゾムに思いっっっっきり見られていた。それはもう、がっつり視線をひとりじめ(嬉しくない)である。
ほぼ初対面の人間の家にあがったというのに、ゾムは全く緊張していない。頬杖をつき、猫背で脱力状態という始末。
……なんか、観察されてる??
「どうぞ」
「どーも」
お茶を出しても、それは変わらなかった。ゾムはお茶をすすりつつ、視線を私に釘付けたままだ。居心地が悪すぎる。
フードをとり、今やゾムの瞳が露わになっていた。
強い閃きを宿す瞳は、ペリドットよりもスフェーンに例えるべきだろうか。
ダイヤモンドクラスの高い屈折率を持ち、強力に光を分散させ、キラッキラな虹色のディスパーションを放つ希少宝石。それが、戦場における索敵モードの如く、ギランギランと私に照準を合わせている。
加えて、生徒会の他のメンバーと同じく、整いすぎている顔立ち。そんなものから穴があくほど見つめられているものだから、本当に嫌な汗が出てくる。
とにかく目的が不明だ。お茶飲み終わったら早く帰ってくれないかな……。
目を泳がせていると、玄関に行く前にその辺に置いた懐中時計が目に入った。さっきまでは紫色だった液体が、かなり赤に近いピンク色になっている。
「……あの、なぜ隣に?」
「…………」
無言で隣にやってくるゾム。怖すぎる。至近距離で私を見つめたままだ。停止ボタンが押されたのかと思うくらい、微動だにしない。
「ゾ、ゾムさーん?」
「……」
「あの……――ひゃあッ!?」
一瞬だった。
ガブッと、噛まれていた。
今日の部活
豚をなでていたら書記長が「なでてる姿を見てるだけで癒されるわぁ」とニコニコしています。
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よぞら(プロフ) - まも。さん» コメントありがとうございます!文才だなんて恐縮です…(照)ですがそのようにお褒めいただけて嬉しいです!天使モードのtn氏のやわらか〜いほわ〜っとした感じを出したかったので嬉しいです…!引き続きお楽しみいただければ幸いです! (3月11日 13時) (レス) id: 5ed934123e (このIDを非表示/違反報告)
まも。 - 最初の「ふわ、と」で文才が開花しすぎて発狂しそうです。好きです。文才でバカボコ殴りつけられた気分です。好きです。陰ながら応援させてもらいます。 (3月10日 17時) (レス) @page1 id: b9c9a804fc (このIDを非表示/違反報告)
よぞら(プロフ) - なべるさん» コメントありがとうございます!万人受けはしないかも…と思っていたので、神だなんて言っていただき飛び上がるほど嬉しいです!!おそれ多いですが、引き続き更新がんばります! (12月9日 16時) (レス) id: 5ed934123e (このIDを非表示/違反報告)
なべる(プロフ) - 設定や文の書き方とか凄い好みでめっちゃ面白いです! 本当に神作品…もっと伸びてくれ… 更新頑張ってくださいね… (12月8日 20時) (レス) @page24 id: 41846b4a21 (このIDを非表示/違反報告)
yoakemae(プロフ) - 爛々炯々さん» コメントありがとうございます!なんと、初日からとは……!そのように言っていただきとても嬉しいです!!引き続き更新頑張ってまいります!! (10月27日 22時) (レス) id: 281ccc1f99 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よぞら | 作成日時:2023年10月9日 21時