mode:内ゲバ ページ3
「……じゃ、決めよか」
す、と椅子から立ち上がるゾム。そんな彼を、エーミールさんは不思議そうに眺め、目をぱちぱちしばたいた。
「なにをです?」
「やり方はなんでもアリやんな?」
「待てコラ大先生、“持ち帰る”つもりか?」
「……シッマお前天才か?」
「とりあえず先輩殺そやチーノ」
「よっしやるかぁ〜!」
「ストオオオォォーーーーッップ!」
副会長の一喝。ぴしっと固まる一同。
「そんなにヒマなら、書類の締切早めよか?」
にっこりとした副会長の笑みで、確実に部屋の気温が2、3度下がった。ひゅうう〜と吹雪く音が聞こえるような気もする。
なぜ彼らがゲバろうとしていたのかわからないでいると、ロボロと名乗った小柄な同級生が席を立った。
「ごめんなぁAさん、校舎案内できんくて」
透き通るように綺麗な、それでいて空間によくとおる声が、ひどく残念そうに言った。
……まさか、誰が私を校舎案内するかで内ゲバが勃発しようとしていた?
「なんやお前、一人だけ自分はお前らとはちゃいますうみたいなツラしよって」
「あ゛ん? こちとらあんさんが壊した“アレ”の修理で今日も通信室向かわないかんのですわ」
「アッ……す、すんません! ほんまにすんません!!」
ペコペコ平謝りする鬱先生。先生と名乗るわりに、あまりプライドがないようである。
ロボロは鬱先生から私に向き直ると、はにかんだ笑みを見せてきた。
「お、おんなじクラスやから、これから仲良うしてな!」
「うん、よろしくね」
「んふ、またゆっくり話そや!」
ロボロはそう言いながら、部屋を出ていく。
扉の向こうに消える間際、ひら、と手を振ってきた。その動きに合わせ、雑面が揺れる。かすかに覗く、きらきらした桃色の瞳とばっちり目が合って、思わず心臓が跳ねる。
「大先生も他人事やないよな? 明日までの報告書あったよな?」
「ぎ、ぎっくぅー!」
トントンさんの詰めに、またもや鬱先生が汚な……いや情けない声を上げる。なにか切羽詰まった仕事があるらしい。
「Aちゃんごめぇん! 今度デートで埋め合わせるから!」
「あ、はい……」
「あーっはっはっはっ! 引かれてるやん大先生!」
「ゾムもシャオロンも。今日の放課後は下級生の訓練やったろ」
「なんで全員のスケジュール把握してんねん」
「トントンお前自分だけで校舎案内しようとしてへんか!? Aちゃん、こいつ無害そうな顔しとるけどとんだ変態やからな!?!?」
校舎案内 >後輩組→←system message:データをロードしています
今日の部活
豚をなでていたら書記長が「なでてる姿を見てるだけで癒されるわぁ」とニコニコしています。
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よぞら(プロフ) - まも。さん» コメントありがとうございます!文才だなんて恐縮です…(照)ですがそのようにお褒めいただけて嬉しいです!天使モードのtn氏のやわらか〜いほわ〜っとした感じを出したかったので嬉しいです…!引き続きお楽しみいただければ幸いです! (3月11日 13時) (レス) id: 5ed934123e (このIDを非表示/違反報告)
まも。 - 最初の「ふわ、と」で文才が開花しすぎて発狂しそうです。好きです。文才でバカボコ殴りつけられた気分です。好きです。陰ながら応援させてもらいます。 (3月10日 17時) (レス) @page1 id: b9c9a804fc (このIDを非表示/違反報告)
よぞら(プロフ) - なべるさん» コメントありがとうございます!万人受けはしないかも…と思っていたので、神だなんて言っていただき飛び上がるほど嬉しいです!!おそれ多いですが、引き続き更新がんばります! (12月9日 16時) (レス) id: 5ed934123e (このIDを非表示/違反報告)
なべる(プロフ) - 設定や文の書き方とか凄い好みでめっちゃ面白いです! 本当に神作品…もっと伸びてくれ… 更新頑張ってくださいね… (12月8日 20時) (レス) @page24 id: 41846b4a21 (このIDを非表示/違反報告)
yoakemae(プロフ) - 爛々炯々さん» コメントありがとうございます!なんと、初日からとは……!そのように言っていただきとても嬉しいです!!引き続き更新頑張ってまいります!! (10月27日 22時) (レス) id: 281ccc1f99 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よぞら | 作成日時:2023年10月9日 21時