逆参照 ページ19
「自己紹介が遅れてすまない、昨日は外せない用事があってな。生徒会長のグルッペン・フューラーだ」
「……え、えっ、現実……!?」
「そう緊張するな。役員就任の承諾、感謝する」
「ま、待って待って! さっきの話ってどういうことなんですか!? 手品か知らないけど人を風景だとかオガクズ呼ばわりして!」
「……なんのことだ?」
はて、と首を傾げる生徒会長。それだけで一枚の絵画になりそうだが、見惚れている場合じゃない!
「バグだとかゲームオーバーだとか、私を勝手にゲームに巻き込まないでください!」
「おや、ゲームには興味がないと」
生徒会長は目をしばたいた。
どうにも反応が悪い。
なんというか、さっきよりも“邪悪さ”が足りない気がする。いや、確かに私が話していたのはこいつのはず――!
「……おい会長、また会う前になんかしたやろ」
「今回は本当にしていないゾ。リンの推薦だからな」
「えっと、じゃあ、グルッペンさんとAさんはお知り合い……?」
「今日初対面のはずだが」
副会長が詰め寄るも、エーミールさんがどこか不安そうに問うも、グルッペンと名乗った男は表情を変えない。
この人の嘘を見破れるとは到底思わないが、それにしても本当に心当たりがないようだった。
トントンさんは、話のかみ合わない私と会長を交互に見る。
それから、こらアカン、とでも言うように頭を振り、私に申し訳なさそうに言った。
「すまんな、これから会長は会議なんや。話の続きはまた明日」
「会議がなんだ、あんな無為なもの!」
「そんなこと言わんと、軍のお偉方も来るんだから」
「彼女の話に興味がある。話を続けてもらっても私は一向に構わん」
「俺が構うんじゃボケ!!」
副会長の一喝。「えー」と口をとがらせる会長。
そろそろ寝なさいと言われて不満たっぷりの子どものようだ。うってかわって5歳児じみた表情に、ズコーっと滑りたくなる。
そのまま重すぎる足を引きずりながら、なかば追い出されるようにして会長が退室していく。
副会長のやれやれとしたため息が、生徒会室に響いていった。
今日の部活
豚をなでていたら書記長が「なでてる姿を見てるだけで癒されるわぁ」とニコニコしています。
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よぞら(プロフ) - まも。さん» コメントありがとうございます!文才だなんて恐縮です…(照)ですがそのようにお褒めいただけて嬉しいです!天使モードのtn氏のやわらか〜いほわ〜っとした感じを出したかったので嬉しいです…!引き続きお楽しみいただければ幸いです! (3月11日 13時) (レス) id: 5ed934123e (このIDを非表示/違反報告)
まも。 - 最初の「ふわ、と」で文才が開花しすぎて発狂しそうです。好きです。文才でバカボコ殴りつけられた気分です。好きです。陰ながら応援させてもらいます。 (3月10日 17時) (レス) @page1 id: b9c9a804fc (このIDを非表示/違反報告)
よぞら(プロフ) - なべるさん» コメントありがとうございます!万人受けはしないかも…と思っていたので、神だなんて言っていただき飛び上がるほど嬉しいです!!おそれ多いですが、引き続き更新がんばります! (12月9日 16時) (レス) id: 5ed934123e (このIDを非表示/違反報告)
なべる(プロフ) - 設定や文の書き方とか凄い好みでめっちゃ面白いです! 本当に神作品…もっと伸びてくれ… 更新頑張ってくださいね… (12月8日 20時) (レス) @page24 id: 41846b4a21 (このIDを非表示/違反報告)
yoakemae(プロフ) - 爛々炯々さん» コメントありがとうございます!なんと、初日からとは……!そのように言っていただきとても嬉しいです!!引き続き更新頑張ってまいります!! (10月27日 22時) (レス) id: 281ccc1f99 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よぞら | 作成日時:2023年10月9日 21時