宣戦布告 ページ15
「どこから来たのかをあなたに教えてもらったとしても、どこへ行くかは私が決める」
「……」
「まずは、私をかたちづくる基礎が、骨組みがどうなっているのかを知りたい。それから、その基礎を生かすのか、それとも全部壊して新しく作るのかを決めたい。基礎がどうなってるかわからないまま、その上に何かを建てようとするのは愚策でしょう。
私は、私のうまれに依りたいんじゃない」
この男は、馬鹿馬鹿しいと切り捨てるかもしれないけれど。
私はスタートラインに立ちたいのだ。
自分が今、どこに立っているのかもわからないから。
男は冷えた表情をしていた。お前には失望した、と言わんばかりの表情だ。
しばしして、おもむろに口をひらく。
「お前は風景の一部だった。何者でもないNPCだった。その思考する自我は単なる“バグ”――どうだ、これで満足か?」
どこまでも温度のない声で、男が言った。
それはさながら世界の創造主――人を超越した、“神”の言葉とも言うべき空気をまとっていた。
普通なら、恐れおののき、言葉を失うだろう。
でも、今の私は違った。
「うん、ありがとう」
「……!」
納得した。
やっぱり私は、“私”であると設定されてうまれた、私ではない“なにか”だった。
同時にすっきり腑に落ちる。
“なにか”であろうと、設定された“私”であろうと、私は間違いなく、今ここに存在している。
男にとって、風景の一部でも。
取るに足らない、何者でもないノンプレイヤーキャラクターだったとしても。
「あなたにとって風景の一部であっても、私の
私以外が私の感情や意思を語ることは、絶対にできない。同様に、私も私以外の物語を語ることができない。
そういう意味で――」
「この
system message:宣戦布告は承認されました→←邂逅
今日の部活
豚をなでていたら書記長が「なでてる姿を見てるだけで癒されるわぁ」とニコニコしています。
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よぞら(プロフ) - まも。さん» コメントありがとうございます!文才だなんて恐縮です…(照)ですがそのようにお褒めいただけて嬉しいです!天使モードのtn氏のやわらか〜いほわ〜っとした感じを出したかったので嬉しいです…!引き続きお楽しみいただければ幸いです! (3月11日 13時) (レス) id: 5ed934123e (このIDを非表示/違反報告)
まも。 - 最初の「ふわ、と」で文才が開花しすぎて発狂しそうです。好きです。文才でバカボコ殴りつけられた気分です。好きです。陰ながら応援させてもらいます。 (3月10日 17時) (レス) @page1 id: b9c9a804fc (このIDを非表示/違反報告)
よぞら(プロフ) - なべるさん» コメントありがとうございます!万人受けはしないかも…と思っていたので、神だなんて言っていただき飛び上がるほど嬉しいです!!おそれ多いですが、引き続き更新がんばります! (12月9日 16時) (レス) id: 5ed934123e (このIDを非表示/違反報告)
なべる(プロフ) - 設定や文の書き方とか凄い好みでめっちゃ面白いです! 本当に神作品…もっと伸びてくれ… 更新頑張ってくださいね… (12月8日 20時) (レス) @page24 id: 41846b4a21 (このIDを非表示/違反報告)
yoakemae(プロフ) - 爛々炯々さん» コメントありがとうございます!なんと、初日からとは……!そのように言っていただきとても嬉しいです!!引き続き更新頑張ってまいります!! (10月27日 22時) (レス) id: 281ccc1f99 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よぞら | 作成日時:2023年10月9日 21時