【d!】元NPCはハッピーエンドを望まない

〔実績《校舎案内》が解除されました〕 ページ12

まだ大勢の人がいる新校舎。

放課後の部活やら帰宅途中の生徒やらで騒がしいグラウンド。

それらとは対照的に、旧校舎はシンと物静かだった。雰囲気が変わった。空調もまばらなせいか、外よりも空気がひやっとしているように感じる。

案内してくれるのがエーミールさんということもあるのだろう。
チーノくん、コネシマと比べると、目の前の色素の薄い先輩は騒がしいタイプには思えなかった。

現に、そわそわと落ち着かない様子で、歩き方もぎこちない。
改めて自己紹介をしてからは、無言の時間が続いている。その自己紹介のときもすごく目が泳いでいたし、噛み噛みだった。

エーミールさんの白皙の頬が、内側からじんわりと桜色に染まっている。

もしかしたら、女子と話すのがあまり得意じゃないのかもしれない。

「あの……」
「はっはい！ なんでしょう？」
「お忙しいのに、案内を引き受けてくださってありがとうございます」
「いえいえ！ 暇人ですから気にしないでくださいね」

緊張しつつも、どこか抜けた笑みを返してくれるエーミールさん。さっきよりももっとお顔が赤くなっているように見える。

なんだろう、この全身から放たれるお人好しオーラは。

先輩というより、大人の先生、という方がしっくりきた。これ教えてください！ と駆け寄ったら喜んで教えてくれそうである。

……なんかこのひとの雰囲気、すごく好きだ。

小春日和に、木陰でハンモックに揺られているような……さっき爆弾投げてたけど。

「トントンさんによると、エーミールさんが一番旧校舎に詳しいんだとか」
「どうでしょう……まあ好きこのんで旧校舎に寄りたがる人は少ないですから」
「立入禁止エリアって何があるんですか？」
「私もよく知らないんですよ。旧図書館の書籍を紐解いてるんですが、とにかく謎だらけでして。
旧校舎自体に多くの秘密通用口があるのは確からしいんですが、中でも立入禁止エリアには政府の極秘兵器があるとか、非公開の研究施設があるとか、最近じゃ異界と繋がってるなんて話まで」

エーミールさんは生き生きしていた。さっきまで少し緊張気味だったようだが、自分の好きな話題で多少ほぐれたのだろう。

学校とは言え、ここは軍学校。政府の正規軍からきた先生もいる。
訓練のための武器庫や、実験道具を備えた倉庫なんかもあるという。生徒の立入が制限されるのも当然だろう。



「ここが旧図書館です……あれ？」

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今日の部活

豚をなでていたら書記長が「なでてる姿を見てるだけで癒されるわぁ」とニコニコしています。

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