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今、突然、私は“私”であることに
水面から顔を上げて、すう、と呼吸をとり戻したみたいに。
私は、“この思考する意識”を、たった今私だと認識した。
「……てことでええかな、転校生さん？」
ふわ、と。
心地のよい、やわらかな声が耳に入ってくる。
声の方向を見ると、整えられた黒髪に、赤いマフラーをした書記長――もとい、生徒会副会長がいた。すごく申し訳なさそうな顔をしている。転校早々、生徒会役員に抜擢されてしまった私への気遣いがみてとれた。
ここは生徒会室。
円卓を埋める顔ぶれは、先ほど自己紹介されたばかり。まだ誰が誰だかわからない。
「……え、えーと、」
「リンから何するかとか聞いてんのやろ？」
ずい、と顔を近づけてきたのは、栗色のボブヘアに、豚のヘアピンをつけたシャオロン。
となりに座るイスを寄せてきては、テーブルに頬杖をつきながら見上げてくる。やたらと距離が近いが、屈託のない笑顔は無邪気そのものだ。上目づかいがあざとい。
リン。ヒイロ・リン。
私の友達。
生徒会役員だった、優秀な衛生兵志望。
私と入れちがいに転校していった、小学生以来の、友達。
……うん。これも、違和感。
すらすら出てくる“知識”であって、血のかよった“記憶”じゃない。
笑った顔も、くだらない雑談も、それらしい友達とのあれこれはなにも思い浮かばなくて。ただ、彼女の経歴と、彼女が友人であり、私を生徒会役員の後継として推薦したという、教科書で読んだ歴史の事実みたいな知識だけが、頭に入っていた。
「あいつの推薦なら間違いないんとちゃう？」
口角を上げて副会長へ言葉を投げたのは、緑色のパーカーを着たゾム。目深に被ったフードと、長めの前髪から覗く眼光はやたらと鋭い。
「まさか出てくのと入ってくんのが友人同士やなんて思わんかったわ！」
「美人の友達はやっぱ美人やねえ」
声がやたらと大きいのはコネシマ、そのとなりでしみじみとしているのは鬱先生だ(どんなあだ名……？)。
今日の部活
豚をなでていたら書記長が「なでてる姿を見てるだけで癒されるわぁ」とニコニコしています。
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よぞら(プロフ) - まも。さん» コメントありがとうございます！文才だなんて恐縮です…（照）ですがそのようにお褒めいただけて嬉しいです！天使モードのtn氏のやわらか〜いほわ〜っとした感じを出したかったので嬉しいです…！引き続きお楽しみいただければ幸いです！ (3月11日 13時) (
レス) id: 5ed934123e (このIDを非表示/違反報告)
まも。 - 最初の「ふわ、と」で文才が開花しすぎて発狂しそうです。好きです。文才でバカボコ殴りつけられた気分です。好きです。陰ながら応援させてもらいます。 (3月10日 17時) (レス) @page1 id: b9c9a804fc (このIDを非表示/違反報告)
よぞら(プロフ) - なべるさん» コメントありがとうございます！万人受けはしないかも…と思っていたので、神だなんて言っていただき飛び上がるほど嬉しいです！！おそれ多いですが、引き続き更新がんばります！ (12月9日 16時) (レス) id: 5ed934123e (このIDを非表示/違反報告)
なべる(プロフ) - 設定や文の書き方とか凄い好みでめっちゃ面白いです! 本当に神作品…もっと伸びてくれ… 更新頑張ってくださいね… (12月8日 20時) (レス) @page24 id: 41846b4a21 (このIDを非表示/違反報告)
yoakemae(プロフ) - 爛々炯々さん» コメントありがとうございます！なんと、初日からとは……！そのように言っていただきとても嬉しいです！！引き続き更新頑張ってまいります！！ (10月27日 22時) (レス) id: 281ccc1f99 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よぞら | 作成日時：2023年10月9日 21時
