第百九十五話【終わりの始まり】 ページ7
「ハァ......ハァ......」
五体全てのアンドロイドを倒し切った私は壁にもたれた。
生身の体を持たないことで、相手はいくら攻撃を喰らおうとも痛みを感じていなかった。戦闘不能の一打を喰らわせなければどの攻撃も意味はない。
《ザザッ......ザザ......Aちゃん!聞こえるか!》
無線機から太宰の声が聞こえた。
「はい......何とか......今、敦君が例の犯人を追っています」
《わかった......すぐに軍警にも応援を呼ぼう》
「はい......お願いします」
私はその言葉の後壁にもたれ、少しの息を吐いたあと目を閉じた。力を使わずとも、やっぱり少し無理をしてしまったようだ。
"大丈夫?"
『骸骨の舞跳』が心配そうに私に聞いた。その声に私は『骸骨の舞跳』の方を見た。
「うん......休めば良くなるよ」
"それなら......良いけど......"
「心配してくれてありがとう。『骸骨の舞跳』」
休めば多少は良くなる筈だ。だが、それでも事件は終わっていない。
「お願い敦君。あとは任せたよ」
私は祈るかのように再び目を閉じた。
────「捕まえた!」
秋田が掴んでくれたチャンスだ。此処で逃す訳にはいかない。逃げる篝に追いついた敦は上から篝を押さえ込んだ。
「くっ......!」
「さぁもう観念しろ......!」
敦は相手が逃げ出さないよう、手に力を入れ続けた。
「フフフ、フフフ......」
突如篝が笑い出した。
「な、何が可笑しい!」
敦は驚きながらも更に手に力を入れた。
「私を捕まえたことでもう終わりだと思っているか?武装探偵社」
「何が言いたい!」
「終わりだよ。この街もこの国も。私の血肉を分け与えて作った私の子ども達がこの世界で命を得るのだから!さぁ、絶望しろ!武装探偵社!」
カチッ......
篝は手に隠し持っていたリモコンのスイッチを押した。どこから見ても何の変哲もないただの音。だが、そのたった一音がこの街に終わりを呼ぶ────
────私は息を整えた後、壁から離れると工房に向かって歩き出した。あの男が最後までいた場所だ。まだ何かあるかもしれないと使える情報がないかと探した。
金属の机の上には作りかけのアンドロイドの部品と出しっぱなしにされた道具、そしてコルクボードには地図が貼ってあり、私は地図の方に目を向けた。
地図には何箇所かに赤い印がされていた。
その一つにこの場所も含まれていた。
「赤い印......これは、もしかして......!」
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トキハル(プロフ) - 藍染紅琳さん» コメントありがとうございます!無事に完結することができました。そう思っていただけたのなら私も嬉しいです。私も知っている作品がありましたらぜひ読ませていただきますね(^^) こちらこそ応援してくださりありがとうございました! (2023年1月31日 15時) (レス) id: a4508594ec (このIDを非表示/違反報告)
藍染紅琳(プロフ) - 完結おめでとうございます!!トキハルさんの書く文章を読んで私、漸く作者側に戻ってみようと思うことが出来ました。今度は私の作品を読んでいただけたらとても光栄です^^本当にお疲れ様でした!! (2023年1月31日 10時) (レス) @page40 id: 94358f61cd (このIDを非表示/違反報告)
トキハル(プロフ) - 藍染紅琳さん» たくさんお待たせしてしまってすみません(┯_┯)ずっと待っていてくださりありがとうございました! 後編もまた来週くらいには上げられるように仕上げていきますので、今もう少しお待ちしていただけるとお願いしますm(_ _)m (2023年1月28日 10時) (レス) id: a4508594ec (このIDを非表示/違反報告)
藍染紅琳(プロフ) - 続編おめでとうございます!!そしておかえりなさいです!ずっとずっと待ってました^^戻ってきて下さっただけで嬉しいです!!更新応援してます!! (2023年1月28日 7時) (レス) id: 94358f61cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:トキハル | 作成日時:2023年1月26日 23時