第二百十七話【偽物】 ページ30
アァ......アアアアァァァ......!
太宰が【黒】に触れたことで黒い霧が形を維持できないように暴れ回る。苦しむ獣のような咆哮が響き渡り、その場の異質さが露わになる。
その瞬間を管理人は見逃さなかった。
「行け!『骸骨の舞踏』」
管理人の声に『骸骨の舞跳』は動いた。
"分かってる!"
『骸骨の舞跳』は荒ぶる黒い霧の中へと飛び込んだ────
"何処......何処にいるの......A!"
黒い霧の中では至る所から人の悲鳴が聞こえ続けていた。
誰かに助けを乞う声。
殺 されたことに対する無念の声。
そして、永遠に相手を呪う声。
黒い霧の中はまるで嵐の中だった。だが、この嵐の中に必ずこの中にあの子がいる筈だ。ただそれだけを信じて、『骸骨の舞跳』は探し続けた。
《『骸骨の舞跳』?》
消えそうな小さな声が聞こえた。自分を呼ぶ声にすぐその場所を探した。そしていた。視線の先に彼女の姿があった。
"A......良かった。無事だよね。早く此処から逃げるよ"
私は彼女に向かって手を伸ばした。しかし......
《どうして助けるの?》
重く突き刺さるような声が響く。
"な、何でそんなこと......"
ガシッ......
秋田?は『骸骨の舞跳』の腕を強く掴んだ。
《お前さえ引き込められれば誰もこの者を助けられない。連れて行かせはしない。死した者は永遠にこの中で私達の仲間となる》
"貴方......Aじゃない!離して!"
『骸骨の舞跳』は必死に腕を払った。
不味い......『骸骨の舞跳』の頭に最悪が過ぎる。
此処で時間を取られる訳にはいかない。既に自分の体が消え掛かっている。秋田との繋がりが消えようとしているのだ。繋がりが切れるということは互いに死を意味すること。もう時間がない。
"確かにあの子は貴方の能力は使った。でも、貴方の能力で人を殺 したことはない!"
《言い訳など無用......!ワレらの業を背負ったからにはワレらと同じ道を彷徨う......お前達も永遠に彷徨え!》
無数の黒い手が『骸骨の舞跳』に迫る。
(何処......!何処なの......A!)
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トキハル(プロフ) - 藍染紅琳さん» コメントありがとうございます!無事に完結することができました。そう思っていただけたのなら私も嬉しいです。私も知っている作品がありましたらぜひ読ませていただきますね(^^) こちらこそ応援してくださりありがとうございました! (2023年1月31日 15時) (レス) id: a4508594ec (このIDを非表示/違反報告)
藍染紅琳(プロフ) - 完結おめでとうございます!!トキハルさんの書く文章を読んで私、漸く作者側に戻ってみようと思うことが出来ました。今度は私の作品を読んでいただけたらとても光栄です^^本当にお疲れ様でした!! (2023年1月31日 10時) (レス) @page40 id: 94358f61cd (このIDを非表示/違反報告)
トキハル(プロフ) - 藍染紅琳さん» たくさんお待たせしてしまってすみません(┯_┯)ずっと待っていてくださりありがとうございました! 後編もまた来週くらいには上げられるように仕上げていきますので、今もう少しお待ちしていただけるとお願いしますm(_ _)m (2023年1月28日 10時) (レス) id: a4508594ec (このIDを非表示/違反報告)
藍染紅琳(プロフ) - 続編おめでとうございます!!そしておかえりなさいです!ずっとずっと待ってました^^戻ってきて下さっただけで嬉しいです!!更新応援してます!! (2023年1月28日 7時) (レス) id: 94358f61cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:トキハル | 作成日時:2023年1月26日 23時