第百六話【深淵の少女】 ページ10
目を開けると、私は暗闇の中にいた。
何処までも深い闇が続く場所だった。何故この場所にいるのか私は記憶を探った。
(確か私は組合と戦って......それで......)
あれから目が覚めた感覚は無かった。ならば、これは夢なのか?もし夢であれば、私には何も対処する事が出来ない。私はただ暗闇の先を見ている事しか出来なかった。
フッ......
不意に気配を感じ、私は振り返った。暗闇の中に人の輪郭があった。暗闇の中に誰かが立っている。私はもう少し目を凝らして、その姿をよく見た。その人物は私よりも背の低くく、私の肩くらいの身長だった。
「随分と組合に苦戦しているようね」
声からして少女の声だった。
「如何してそれを?貴方は誰なの?」
私は彼女を知らない筈なのに、何故か知っているような感覚があった。いや、前にもこんな感覚があったような、それはいつだったのだろう。私が思い出そうとしていると......
「これから大きな戦いが起こる」
少女ははっきりと言った。
少女の言葉にそんな筈はないと思いたかったが、彼女の言葉には妙に信憑性があるように感じた。いや、よく考えればそうだ......私はその言葉で気づかされた。
ポートマフィアに組合、そして私達探偵社。もう役者は揃っている。既に大きな戦いが控えている事に間違いなかった。
「犠牲を増やさない為には貴方の力が掛かっている。だけどもし、自分では如何しようも無い状況に陥った時、異能力を使えばその危機を脱す事が出来るかもしれない。でもね......」
少女が少し言葉を置いた後、再び口を開いた。
「それが本当に正しい事なのか、貴方には分かるかしら?」
「えっ......?」
異能を使う事が本当に正しい事なのか、それが如何いう意味なのだろう。私には少女が如何ような意味で言っているのか分からなかった。
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トキハル(プロフ) - 長らくお待たせしましたm(_ _)m 更新始めていきます。 (2020年3月4日 15時) (レス) id: a4508594ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:トキハル | 作成日時:2020年3月4日 14時