第百四十一話【作戦の異端者】 ページ44
「それは本気か?君は異能者リストで見たが、夜にしか本領発揮を発揮出来ないそうだな。昼間に使えたとしても、手負いで何処まで逃げ切れる」
確かにそうだ。今、異能を使っても直ぐに捕まるのは明白。しかし、組合にとって私は異端者だ。何故なら私が複数の異能持ちだと知らないからだ。
もし、作戦参謀が現存あるデータや情報から相手の行動を読み解いているのならば、この情報だけは知られていない。此方の策はこの一手だけ......
「でも、やってみなきゃ分からない」
私は静かに答えると、強く走り出した。
「なら、それを証明したまえ」
フィッツジェラルドが徐に右手を掲げた。
何か......と思った瞬間、映像が見えた。何処からか撃たれたゴム弾が私のこめかみに当たるものだった。軌道は分かっているなら......私は直ぐに姿勢を低くした。
その直後、真上でシュン......と音を鳴らして弾が通過した。弾は勢いを殺さないまま倉庫の壁に当たり窪みを作った。
「うっそ......普通避ける?」
トウェインは目を見開いて驚いた。そして再び照準を覗き、今度は二発撃ち放った。
二発の弾が私に迫った。その軌道も私には見えている。しゃがんでいた足に力を入れ、脱兎の如く跳躍させた。遅れて地面に二発のゴム弾が跳弾した。私は体勢を立て直すと地面に足をつけた。
そして、そのまま走り続けた。狙いは勿論......
私は拳を振りかぶり、前へ突き出した。
ガシッ......!
私の拳が受け止められた。ジリジリと力の押し合いが続いた。
「
「それはどうも......」
私は拳に力を入れ続けた。精一杯力を入れ続けている筈なのに、フィッツジェラルドは余裕のある顔で私を見ていた。
「ふむ、この拳だと百ドルの価値にしかならん。虎の少年の方がマシだったぞ」
その通りだ。今の私は身体強化を一切していない。ただ力任せの拳を放っただけ......そんな状態でフィッツジェラルドに勝てる筈がなかった。
しかし、【黒】の能力でフィッツジェラルドを気絶させれば、まだ勝算がある。私が【黒】を呼び出す為に、口を開こうとした時......
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トキハル(プロフ) - 長らくお待たせしましたm(_ _)m 更新始めていきます。 (2020年3月4日 15時) (レス) id: a4508594ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:トキハル | 作成日時:2020年3月4日 14時