第百四十話【逃げ道のない先】 ページ43
きっと、あの後現場の異変を感づいた本部が応援を必ずこちらに向かわせる筈だ。加えて、まだ組合が追って来ているかもしれない。急いでこの場所を離れなければ、本当に逃げ道が無くなってしまう。私の頭の中では、ただひたすら走れという命令だけが続いていた。
そして倉庫の物陰を通り抜け、表に出た時......
「
「......!」
私達の目の前には、フィッツジェラルドと白い髭を生やした老年の男性がいた。まさか先回りをされていたとは......直ぐに追いかけずに態と見逃していたのなら納得がいく。
「うちの作戦参謀は優秀でね。逃走対策も万全だ。書類の分厚さには閉口だが」
「くっ......」
敦は強引でも此処は突破しようと、腕を虎化させた。
その瞬間......
パァン!という音と共に、敦の体が横に吹き飛んだ。直ぐに危機を察知した鏡花が右手で刀を引き抜いた。しかし、その直後鏡花の手に衝撃が走り、刀が粉々に砕かれた。
────「ヒュ〜♪大命中〜!死にはしないけど死ぬほど痛いんだよねぇ。僕の弾丸って」
此処から何百米離れたビルの屋上でトウェインが得意げに云った。
遠くのビルからの射撃......何処だ?相手は何処にいる?私は横目でビル街の方を見たが分からなかった。私は徐に両手を上げた。
「ご苦労、トウェイン君」
フィッツジェラルドは何処かに電話をした。そして、気絶する敦の元へと歩いた。
「では
「駄......目......それだけは......」
鏡花も敦を連れて行かせたくない気持ちは同じだった。しかし、余りにも強大な相手に為す術がなかった。でも、私なら......例え、少しの可能性であっても、それに懸けていいのなら......
私は一歩前に踏み出した。
「敦君は......連れて行かせない」
「ふーむ。しかし、この状況を打開する手はあるのかね?組合の作戦参謀を出し抜ける方法が......」
相手の作戦参謀は逃走経路まで予測していた凄腕。なら、その裏をかくしかない。
「私が......私が作戦の中の
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トキハル(プロフ) - 長らくお待たせしましたm(_ _)m 更新始めていきます。 (2020年3月4日 15時) (レス) id: a4508594ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:トキハル | 作成日時:2020年3月4日 14時