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第百三十五話【組織の隔たり】 ページ38

「ハァ......」


私と敦は政府との交渉に向かった太宰との待ち合わせの為に湾岸へ足を運んでいた。私は海を見ながら溜息をついた。


「どうしたんですか?」


そんな私の様子に敦が聞いた。


「えっ......いや......もし、探偵社もポートマフィアもお互いにそういう立場が無かったら、もっと紅葉さんと仲良くなれたのになぁと思って......」


「確かに、凄い話込んでましたね」


「うん。久し振りに話が弾んじゃったよ」


「でも、僕......あの人は......」


敦の言いたい事は分かる。尾崎はせっかく光の世界の居心地さを知った鏡花を再びポートマフィアという闇へ引き戻そうと迫った。闇から生まれた者は眩しすぎる光に押し潰される。一度見失った光は、もう目には見えない。尾崎はそれを恐れていたのだった。鏡花が絶望しない為に......


「確かに、やり方がアレだったけどね......そうであっても私達と同じくらい、鏡花ちゃんの幸せを願ってくれている」


しかし、今度は尾崎から鏡花の事を頼まれたのだった。闇から光へ。鏡花が光の世界でも生きていけるように......なら、私達はその想いに応えなくてはいけない。


「でも......いくら探しても何処にも鏡花ちゃんはいないし......本当に何処に行っちゃったんだろう?」


時間がある時、私は外に出て鏡花を探した。大通りに路地裏、鏡花の行きそうな場所を手辺り次第探したが、何処にもその姿はなかった。


「本当に無事なら良いんだけど......」


私は再び溜息をついた────





「待たせたかな?」





背後から私達に声を掛ける者がいた。太宰が来たのかもしれない。私達はその声に振り返った。


「あっ、太宰さ......」

第百三十六話【ウィル・オブ・タイクーン】→←第百三十四話【和を以て尊しと為す】



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トキハル(プロフ) - 長らくお待たせしましたm(_ _)m 更新始めていきます。 (2020年3月4日 15時) (レス) id: a4508594ec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:トキハル | 作成日時:2020年3月4日 14時

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