第百十七話【The strategy of conflict】 ページ21
私は廃路線が残る坑道の中を歩いていた。
坑道の中は陽も当たらず、無機質な電灯が灯るだけである為、少し肌寒さを感じた。通りすがりに、チカッチカッと点滅し続け、今にも消え入りそうな電灯があった。それがより私の中に不安を駆り立てた。一人だけで薄暗い中を歩いているとどこか
此処から六番の監視カメラまで距離がある為、矢張り付いてきてもらうようにすれば良かったと今更後悔した。
暫く歩いていると、六番の監視カメラの所まで辿り着いた。私は監視カメラの様子を見ようと頭上を見上げた。監視カメラは電源が入っていないように電源ランプを点灯させていなかった。
(この辺に脚立はなかったけ?)
私は監視カメラの状態をよく見ようと脚立を探した。
ザッ......
不意に物音が聞こえた。靴が砂利を踏むような音だった。
ザッ......
また音が聞こえた。距離が徐々に此方に迫っているようにも思えた。
(誰か......いる?)
私は音のした方向に目を向けた。それは坑道の入り口の方からだった。攻勢が旧晩香堂に向かっているという連絡は無い。という事はつまり......
私は咄嗟にインカム越しに守勢へ呼び掛けた。
「此方「丙」班。廃路線内に侵入者です。真っ直ぐ、旧晩香堂に向かっています」
ザッ......ザッ......
その者はゆっくりと歩みを続けていた。薄暗い坑道の中で、私はジッと目を凝らした。
「敵は人数は?」
インカムから福沢の声が聞こえた。
「一人です」
足音より人数は一人だけであるとそう判断した。普通なら単独で拠点に乗り込む事はない。しかし相手は単独でこの拠点に乗り込んで来た。単身による拠点制圧。相手はそれ程の実力があると安易に予想できた。
そして暗がりの照明に照らされて、その者は姿を現した。見覚えのある黒帽子に黒外套......
「中也さん......」
私は苦し紛れにそう呟いた。
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トキハル(プロフ) - 長らくお待たせしましたm(_ _)m 更新始めていきます。 (2020年3月4日 15時) (レス) id: a4508594ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:トキハル | 作成日時:2020年3月4日 14時