幸せにしたいから【第五人格】

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周りに勘違いされる？


違う。


本当は、勘違いしそうになるバカな俺の心のことを言っていた。


「周りに勘違いされても知らねえぞ」


なるべく怪しまれないよう落ち着いた風な口調で言い放ち、
感情を悟られないようにしながら階段を降りる。



そうだね、なんて返事をした彼女の声が暗いように感じたのも、
やはり俺がバカだからなのだろうか。



俺は勘違いされたっていい。むしろ嬉しいなんて、そんなことを言えるわけはない。


俺が邪魔をして、彼女の幸せを壊したくはない。


臆病な言い訳かもしれない。
だけど気持ちを抑え込む理由が、それしかないから。


だけど。


扉を開いて、占い師に話しかけられる直前


ふと見えた彼女の目が潤んでいたような気がしたのも、
都合のいい俺の錯覚だろうか？




淡々と小さくなっていく彼女の背中を見つめながら、理解できない彼女の行動に向けて小さく呟いた。




「くそ、何で……」



何で、そんな顔するんだよ。






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