◇ ページ34
運命であるとか運命だったのだとか、そんなものは所詮言い訳に過ぎない。人間が永い時間を掛けて作り替えた都合の良い言葉なのだ。それを、私は……。
ふと吐いた溜息は音に成る間も無く雀の囀りに飲み込まれ、誰の意識も攫うことなく飛び去っていった。悠々と宙を飛ぶ雀が、澄んだ空に影をつくる。
『………』
追憶。
平和な世界を体現したような、何の変哲もない一日だった。
瞼の裏に夕陽が視える。朱に照らされる通学路を、いつもの四人で歩いていた。鴉と蝙蝠が躍るように飛んでいて、滑稽だと誰かが嗤った。
「なあ、Aは部活何処するか決めた？」
四月後半、部活に所属している二三年が新入部員確保へと向けていた意識を部活動に戻し始める時期である。A以外は口には出していないがどの部活に入るか既に決めているようで、それぞれ軸となる感情は違えど皆一貫して晴れやかな笑顔を浮かべていた。
…だからこそ、いつも通り笑っているAに不自然さを覚えたのだろう。紗緒が尋ねてきたその一言はAの心の平穏を崩すには最適過ぎるものだった。
苦い。分割線に突き刺されたかのような、筆舌に尽くし難い感情がAを襲う。
一度目*、真面目を体現したような性格だったAは、「○○の主役は我々だ！」と出会ったことで彼らから数多の影響を受けていた。その一つが、ゲームやアニメ等の「サブカルチャー」と呼ばれる事柄への興味関心である。
今世のAは其れを過剰なレベルで引き継ぎ、ゲームで語るならば同じ物を何十時間も続けてプレイ出来る程にはのめり込んでいた。("ジャンルによる"という前置きが入るが)
…けど、それだけ。あの空間の中に割って入って良い理由にはならないのだと、矢張り彼女は
「決めとらん？そっかあ…」
『うん。自分に合ったところってなると中々ね…』
「Aって中学の時も部活入っとらんくなかった？」
「言うて
「いやっ……アレはオレを留められへんかった方が悪いやろ」
「よお言うわホンマ」
ドヤ顔で申し開く希に陽呂は呆れた声でそう呟き、それを確りと聞き取った希が冗談半分で突っ掛かったことでいつもの戯れ合いが始まった。
それに対し想定通りと言わんばかりに静かにAの横に移動してきた紗緒が、Aの目には何処か使命感に駆られているように見えた。
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怜巫(プロフ) - まるさん» コメントありがとうございます。イマジナリーッペンは自分でもお気に入りの造語です(笑)。ご期待に添えられるようなお話かは分かりませんが、気長にお待ち頂ければ幸いです… (11月20日 15時) (
レス) id: 42dc5a7528 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 今では珍しいパンゾンビ、P.6で出てきて懐かしすぎて久々に見に行ってしまいましたwイマジナリーッペンの語呂の良さ、微笑んでしまうようなやり取りetc…明日が一応更新日ということで、気長に楽しみに待っています！！ (11月18日 20時) (レス) @page33 id: dba6e6f19e (このIDを非表示/違反報告)
怜巫(プロフ) - ワカメさん» お褒めいただきありがとうございます！遅筆ですが頑張って続きを作成中ですのでこれからも本作品を何卒宜しくお願いします！ (10月3日 20時) (レス) id: 138669c149 (このIDを非表示/違反報告)
ワカメ - ものすごく面白いです！続き楽しみにしてます！ (10月3日 18時) (レス) @page22 id: 103dc78d5a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：怜巫 | 作成日時：2023年8月17日 5時
