◇ ページ31
例えば人数比による圧を感じていたり。隣で真剣に思い出話を聞いてくれている彼の噂が障壁になっていたり()。
例えば、誰かに何かしら良くない事を吹き込まれたり。
結局は彼に直接聞かない限りワケを理解するなど夢のまた夢なのだが。ここら辺に関しては彼が話してくれるのを待つ他ない。
私は結局、どこまでいっても
「ほーーん……ガチで長いんやな」
『そうですねぇ』
いつの間にか聞き手が宇都宮さんから捏田さんに変わっていたがそれはさておき。
溢れ出る思い出にシャッターを切りつつ催促されるがままに語れば、捏田さんは時偶顔を曇らせながらも最終的には満足そうに頷き上記の言葉を零した。欲しい情報が取れたようでなにより。なにより、なのだが……
「ｳｯ……ﾅﾝﾃﾞｪ……」
『あの、宇都宮サン…？大丈夫ですか？』
「あー…コイツのことはアスファルトの上で干涸らびとる蚯蚓や思とけ」
机に突っ伏しブツブツと呪詛のように何かを呟く宇都宮さんを捏田さんは冷めた目で一瞥すると容赦無くそう言い放った。中々に癖の強い言い回しだが 要は 気にするな、ということだろう。
ただ、彼が放った蚯蚓という言葉にふと一度目*の時に鬱先生がやっていたミミズの物真似が浮かび、私は吹き出しそうになっていた。クッソなんでこんな時に…っ。
思い出し笑いを必死に堪えようと身体を震わせる私を不審に思ったのか、捏田さんが此方に近寄ってくる気配を感じた。
二度目*の癖が抜け切っていないのか反射的に後退ろうと身を捩るも、間もなく背もたれにぶつかってしまった為その行為は意味を成し得なかった。背もたれの部分が筋に当たりヒリヒリとした感覚が脳を蹂躙するがそれもあっという間にミミズに踏み潰される。やめろ、出てくるんじゃない笑っちゃうだろ。
「んー？なんや、笑とるんけ」
『ヤ、…ﾌｯちゃ、ちゃいますよっ？…っふふ』
「いや笑とるやんけ！！」
彼の関西人丸出しの鋭いツッコミを皮切りに腹に抑えていた酸素が一気に外へ排出され、かふっ なんて情けない音を上げると極みに極まった興奮を針に刺された風船のように吐き出した。
掠れた笑い声は緩やかに伝染し、教室には三つの明るい笑声が残響する。総合的な声量の大部分は捏田さんが占めていたというのは、最早言うまでもないだろう。
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怜巫(プロフ) - まるさん» コメントありがとうございます。イマジナリーッペンは自分でもお気に入りの造語です(笑)。ご期待に添えられるようなお話かは分かりませんが、気長にお待ち頂ければ幸いです… (11月20日 15時) (
レス) id: 42dc5a7528 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 今では珍しいパンゾンビ、P.6で出てきて懐かしすぎて久々に見に行ってしまいましたwイマジナリーッペンの語呂の良さ、微笑んでしまうようなやり取りetc…明日が一応更新日ということで、気長に楽しみに待っています！！ (11月18日 20時) (レス) @page33 id: dba6e6f19e (このIDを非表示/違反報告)
怜巫(プロフ) - ワカメさん» お褒めいただきありがとうございます！遅筆ですが頑張って続きを作成中ですのでこれからも本作品を何卒宜しくお願いします！ (10月3日 20時) (レス) id: 138669c149 (このIDを非表示/違反報告)
ワカメ - ものすごく面白いです！続き楽しみにしてます！ (10月3日 18時) (レス) @page22 id: 103dc78d5a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：怜巫 | 作成日時：2023年8月17日 5時
