◇ ページ30
桜の花弁は土に紛れていって、芽吹いた若葉の不安定な煌めきは褪せり鈍い青葉へ成長する。
そんなありふれた景色が広がる頃。
「Aちゃんのお弁当めっちゃ綺麗やね。もしかして手作り？今度僕のも作って欲しいな〜、なんて」
『イヤァ結構デス…』
「大先生振られてるやん…っふふ、ッアﾞーーッハッハッハッハッ！」
『……どうしてこんなことに』
私は宇都宮さんと捏田さんのお二方の間に挟まれる状態で昼食をとっていた。両手に薔薇とはこの事か。ハッハッハッハッ…
……なんで？？？イヤ、原因は理解っている。この二人が"突撃☆貴方の教室！"してきて瞬きする間もなく私を連れ去り、あれよあれよとゲーム部の部室に引き摺り込んだからだ。改めて状況を振り返ってみても全く意味が分からない。
「絆を深めたいから」とかなんとか言われたが、ソレが建前でしかないのは自明の理である。楽しげに歪められた彼らの瞳に思惑を成功させる意志が潜んでいるのが何よりの証拠だ。
彼らは一体、私に何を求めているのだろうか。何を期待しているのだろうか。別に期待なんてされても万札しか出ないというのに。
然し、知りたいからといって話を切り出そうにも今の私では彼らのペースに巻き込まれておかなければ不自然なのだ。"私"が"私"としてズレのないように。我身勝手な理由で申し訳ないが、彼らが本題を発してくれるまでは待ちの姿勢を貫こう。
へらへらとした笑顔の裏で、そんな薄っぺらい決意を固めた。
彼らとの会話は退屈しない。腹の底から込み上げてくる笑いは一度目*や二度目*の
「そう言えばAちゃんさ」
『はい？』
「ゾ…結縁とは何時からの付き合いなん？幼馴染って聞いたけど」
目を瞬かせる。彼の情報が欲しいなら直接聞けば済むのに…、と そこまで考えたところで希が彼らにそこそこ分厚いATフィールドを張っているのを思い出した。彼らと相対する希は警戒心が強い猫みたいやったなぁ。
紗緒と陽呂と仲良くなった時はあそこまで酷くなかった(陽呂談)らしいので、何かしらワケがあるのだろう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 193人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
怜巫(プロフ) - まるさん» コメントありがとうございます。イマジナリーッペンは自分でもお気に入りの造語です(笑)。ご期待に添えられるようなお話かは分かりませんが、気長にお待ち頂ければ幸いです… (11月20日 15時) (
レス) id: 42dc5a7528 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 今では珍しいパンゾンビ、P.6で出てきて懐かしすぎて久々に見に行ってしまいましたwイマジナリーッペンの語呂の良さ、微笑んでしまうようなやり取りetc…明日が一応更新日ということで、気長に楽しみに待っています！！ (11月18日 20時) (レス) @page33 id: dba6e6f19e (このIDを非表示/違反報告)
怜巫(プロフ) - ワカメさん» お褒めいただきありがとうございます！遅筆ですが頑張って続きを作成中ですのでこれからも本作品を何卒宜しくお願いします！ (10月3日 20時) (レス) id: 138669c149 (このIDを非表示/違反報告)
ワカメ - ものすごく面白いです！続き楽しみにしてます！ (10月3日 18時) (レス) @page22 id: 103dc78d5a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：怜巫 | 作成日時：2023年8月17日 5時
