忍霧さん ページ4
「………ミミクリー殲滅の時に街の番号は更新制かもって話をしたじゃないですか。1年に1番街リアル実況が行われていると仮定したとして、2年前なら11番街の可能性が高いんじゃないかなって思ったんです。」
仮説については何も言っていないが、嘘ではない。それに今のところはこれしか言えない。ごめんなさい忍霧さん。
「………あぁ、成程。」
「まぁ、これは私の推論です。もしかしたら全然違う真実かもしれませんし、あくまで『可能性の1つ』として考えていただければ………。」
推理をする時に大切なのは、立てた仮説を過信しすぎない事だ。あらゆる可能性を考えてそれを1つずつ削り、最有力説を導き出す。私はこれが1番良いと思っている。
「……そうだな。」
「ま、仮説の信じ過ぎは良くねェな。」
……そういえば、忍霧さんは何故鬼ヶ崎さんを選んだのだろう。
「………ちょっと思ったんですけど。忍霧さんが妹さんの話を鬼ヶ崎さんに教えようと思ったのは、行動パターンが似ているからとかでしょうか？」
「……あ、あぁ。他の皆が従順な中、鬼ヶ崎だけが脱出への最短ルートを進もうとした。つまり1番帰ることに執着していると思ったんだ。」
「あー……。」
今1瞬、鬼ヶ崎さんの表情が変わった。何かを思案するような、嫌悪するような、そんな雰囲気だった気がする。
「妹も、誰よりそう思っていた筈だ。あいつは家から……俺から離れるのを極端に嫌う。この１週間皆を観察していたが、お前の行動が1番妹に酷似していた。お前と行動を共にすれば妹の消息を知るヒントになるかもしれない。だから………。」
「わかったわかった。俺ァ検体モルモットって訳だな。」
………帰る事への執着ねぇ。
鬼ヶ崎さんはそこの所はグレーゾーンな気がする。帰りたいからこそ危険を顧みないのか、帰る場所がないからこそ自暴自棄なのか。
「違う……！情報共有だ。この街も、ゲームも、俺が想定していたものより規模が大きい。……1人では何年かかるか分からない。お前が探索で得た情報を全て教えてほしい。俺もお前に全て伝える……！」
……妹さんの為に必死なんだなぁ。忍霧さんも。
必ず生きていると信じる姿勢は好感が持てる。が……、もし、妹さんが亡くなっていた場合彼は立ち直れるのだろうか。
最初から最悪を想定しておけなんて言うのは酷だが、希望だけを信じていても何にもならない事だってあるのだ。最悪追撃を喰らう事だってある。
兄が失踪した、あの日みたいに。
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ユキヨル(プロフ) - 厘さん» ありがとうございます(*´-`)免疫かき集めて更新していきます！ (2019年8月30日 20時) (
レス) id: b49c625d58 (このIDを非表示/違反報告)
厘 - お身体に気を付けて、更新頑張ってくださいね！ (2019年8月30日 14時) (レス) id: 4d8a897ec9 (このIDを非表示/違反報告)
厘 - 続編おめでとうございます〜！逢河くんの小説少ないので本当に嬉しいです！チートや鈍感過ぎるとかそういう夢主じゃないのが特にいいですし、ちゃんと考えて書かれているなとよく思います！時々逢河くんが怒ったりしてるのもすごく良くて… (2019年8月30日 14時) (レス) id: 4d8a897ec9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユキヨル | 作成日時：2019年8月29日 21時
