無茶 ページ25
「バグの焼却処分もワタクシの役目でございます。どうかご懸命な判断を……キハチ殿。お孫さんと少しでも永く、一緒に居たいでしょう……？」
パカさんに逆らえば、NPCは『リセット』される？消された上で、また新しいNPCが作られるのだろうか。
「……道化め。さっさと去ね。」
忌々しそうにそう言って、キハチさんが姿を消した。コツコツと靴の音がする。パカさんが入出さんの所に移動したらしい。
「……ありがとう………ございます…………。」
「！ 入出さん！！………っぐ。」
入出さんの声がして、思わず今は上手く動かない身体だということも忘れて彼に這いよってしまった。動かした左腕に激痛が走る。……怪我の痛みを感知できるくらいには、精神状態が落ち着いて来たらしい。
「おや。お2人共気付かれていましたか。じきに鬼ヶ崎様たちが来ます。引き続きご健闘をお祈りします。」
タオルで入出さんの血を拭ったパカさんが、私の左肩にも別のタオルを巻いてくれた。
「……パカさん、ありがとうございます……。」
「いえいえ。」
立ち去ろうとするパカさんに、入出さんが声をかける。
「…………パカさん、俺たち、友達になれませんか……？」
パカさんは、答えない。
「パカさん、ずっとここに1人で居たんですか……？さみしくなかったですか……。俺、俺ねぇ……脱出ゲーム得意なんですよ。一緒に、ここから出ましょう………。」
でも、その背中が、とても辛そうに見えて。
「……出来ません。」
「………どうして？」
「出来ません。約束なのです。」
歩き去るパカさんの声が、震えている気がした。
「………どうして………。」
「……きっと、何かわけがあるんです。ゆっくり、解決していきましょう。」
哀しそうに呟いた入出さんの血を、もう少しだけ拭き取る。……脳震盪は、起こして無さそうだけど………腕は、折れているかもしれない。物凄い勢いで右半身を強打していたから。
「………Aさんも、怪我、大丈夫ですか？」
…………ここで入出さんに余計な心配を掛ける必要は無い、よね。
「大丈夫です。パカさんがタオルを巻いてくれましたし。」
うん。多分大丈夫だ。
それにしても、鬼ヶ崎さんが来る？のかな？パカさんよくそんな事が分かるなぁ。
「……鬼ヶ崎さん達が来るまで、少し休んでいて下さい。周囲の警戒はしておきますから。」
軋む身体に力を入れて立ち上がる。
………ちょっと無茶する事になるけど、頑張らないと。
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ユキヨル(プロフ) - 厘さん» ありがとうございます(*´-`)免疫かき集めて更新していきます！ (2019年8月30日 20時) (
レス) id: b49c625d58 (このIDを非表示/違反報告)
厘 - お身体に気を付けて、更新頑張ってくださいね！ (2019年8月30日 14時) (レス) id: 4d8a897ec9 (このIDを非表示/違反報告)
厘 - 続編おめでとうございます〜！逢河くんの小説少ないので本当に嬉しいです！チートや鈍感過ぎるとかそういう夢主じゃないのが特にいいですし、ちゃんと考えて書かれているなとよく思います！時々逢河くんが怒ったりしてるのもすごく良くて… (2019年8月30日 14時) (レス) id: 4d8a897ec9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユキヨル | 作成日時：2019年8月29日 21時
