実験 ページ21
NPCに案内してもらった厨房で、薬箱の有無を問う。……これで薬箱が無いのならまた何か策を考えなければと思ったが、どうやらあるようだ。
「……その、私実は肺の病気を持っていまして……咳と喀血をすることがありましてですね。咳止めを飲まないと最悪お嬢様の前で喀血する事になります。ですがその、先程急にここに攫われてしまったので薬の持ち合わせがなく、まだ死にたくないので不興を買うのは嫌でして………。」
取り敢えず理由はこんなもので良いだろう。あながち嘘でもないし。喀血した事があるのは本当だ。昔ストレスで胃潰瘍を拗らせたときに、かなり喀血症状も出したから。
「成程。それは大変ね……あいつらも使用人が無駄に減るのは嫌みたいで、一応この箱に大抵の薬が入っているわ。あいつらも使うことがあるから効果はあるはずよ。」
「ありがとうございます。使わせて頂きますね。」
よし、第2関門突破！
信じてくれたこのNPCには申し訳ないが、胃潰瘍はだいぶ前に一応完治したしそれ以来喀血もしていない。だから咳止めは別に必要ではないのだ。………欲しいのは、鼻炎薬と酔い止めだ。
「………あ、あった。」
めちゃくちゃ色々な薬がある。
え、効くのこれ？でもさっきNPCが『あいつらも使う』って言ってたしなぁ。鬼のくせに病気になると言うのか。………まぁ、良いや。
鼻炎薬と酔い止めを少しずつ拝借し、NPCが出してくれた茶葉とティーポット等を手に取る。
……さぁて、実験だ。
幸いにも両方粉末薬だったので、軽く混ぜ合わせて茶葉と一緒にティーポットに入れ、そこにお湯を注ぐ。まぁ錠剤でもよく砕けばそれで済むのだが。……しばらく蒸らして、紅茶の出来上がりだ。
「……味で気づかれたりしなければ良いんですがね。」
取り敢えず、第3関門。キッカさんは騙されてくれるだろうか？
「お待たせしましたキッカお嬢様。ここでのお給仕は初めてなもので、お待たせしてしまい申し訳ありません。」
「遅かったじゃないアリスティア。まぁ良いわ、早速お茶をいただこうかしら！」
「はい。どうぞお飲み下さいませ。」
お茶のセットを乗せたトレーを持って戻ると、キッカさんがそう言ってまた高笑いする。……尊大な態度だが、彼女も鬼としては強いのだろうか？まさか祖父に頼りきりって訳じゃないだろうし。
「……！美味しい。お茶の腕前は確かなのね。」
……かかったな。キッカさんがお茶を飲んだ。これで第3関門突破。
後はなるようになれ、だ。
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ユキヨル(プロフ) - 厘さん» ありがとうございます(*´-`)免疫かき集めて更新していきます！ (2019年8月30日 20時) (
レス) id: b49c625d58 (このIDを非表示/違反報告)
厘 - お身体に気を付けて、更新頑張ってくださいね！ (2019年8月30日 14時) (レス) id: 4d8a897ec9 (このIDを非表示/違反報告)
厘 - 続編おめでとうございます〜！逢河くんの小説少ないので本当に嬉しいです！チートや鈍感過ぎるとかそういう夢主じゃないのが特にいいですし、ちゃんと考えて書かれているなとよく思います！時々逢河くんが怒ったりしてるのもすごく良くて… (2019年8月30日 14時) (レス) id: 4d8a897ec9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユキヨル | 作成日時：2019年8月29日 21時
