お仕え ページ20
「さぁヴェロニカ、お茶を淹れてちょうだい。今日はそうね……アールグレイの気分だわ。」
ぬほほほほ、と謎の高笑いを上げてキッカさんが命じるが、更屋敷さんは心底嫌そうな顔をしたまま動かなかった。
「聞こえないのヴェロニカ！解雇しちゃうわよ！」
ぷりぷりとお怒りの様子のキッカさん。更屋敷さんは苛立ったように言葉を返す。
「しなさいよ！！むしろ望むところ……」
「ちょっと……あなた新入り？」
解雇しろと言いかけた彼女を止めたのは、仮面をつけた女性……NPCだった。
「逆らわない方がいいわ。大人しく従ってればあいつら危害は加えないの。」
「だからってこんな……！」
「廃棄されるわよ。……お願い、我慢して……。」
「……成程。」
大方あの大鍋で釜茹でにでもされるのだろう。食べないとか言いつつ結局末路的には喰われて死ぬんじゃないか。
顔色の悪くなった更屋敷さんを見て、満足気な嫌な笑みを浮かべたキッカさんが煽る。
「ほらほら、お鍋の出汁になりたいの？とびっきりのフルコースをお願いね、ヴェロニカ。」
……あ、そうだ。
閃いたと言うか確かめたい事が出来たと言うか、取り敢えず口を挟む事にする。
「あの、キッカお嬢様？」
「？何よアリスティア。」
「わたくし、幼少の頃より家事にはそれなりに覚えがありまして。お茶を淹れるのは得意なのです。そのお役目、どうかわたくしにお任せ頂けませんか？」
「……まぁ、そこまで言うなら。不味かったら解雇しちゃうわよ！」
……ふふ、まず第一関門クリアだ。
「畏まりました。あの、先輩、厨房はどちらか教えていただけませんか？」
「え、えぇ。こっちよ。」
「ちょっと九瓏さん！何考えて……」
キッカさんに一礼してNPCに案内してもらおうとすると、更屋敷さんが声を上げた。
「推理モノをやり込んでいると、こういう時変なことを考え付いちゃうんですよね。取り敢えず大丈夫です。更屋敷さんは表向き従順にしておいて下さい。(ぼそっ)………とまぁ、これが美味しいお茶の淹れ方のコツです。今度お嬢様のお口に合うように練習しましょうね。」
耳打ちした後誤魔化す為に適当な事を言い、キッカさんの前を後にする。多分彼女には私がお茶の淹れ方のコツを教えたように見えている筈だ。
「……ここが、厨房よ。」
「ありがとうございます先輩。……あの、薬箱とか、ありませんか？」
「え？えぇ、ある事にはあるけれど……どうして？」
次は第2関門、うまく騙し通さなければ。
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ユキヨル(プロフ) - 厘さん» ありがとうございます(*´-`)免疫かき集めて更新していきます！ (2019年8月30日 20時) (
レス) id: b49c625d58 (このIDを非表示/違反報告)
厘 - お身体に気を付けて、更新頑張ってくださいね！ (2019年8月30日 14時) (レス) id: 4d8a897ec9 (このIDを非表示/違反報告)
厘 - 続編おめでとうございます〜！逢河くんの小説少ないので本当に嬉しいです！チートや鈍感過ぎるとかそういう夢主じゃないのが特にいいですし、ちゃんと考えて書かれているなとよく思います！時々逢河くんが怒ったりしてるのもすごく良くて… (2019年8月30日 14時) (レス) id: 4d8a897ec9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユキヨル | 作成日時：2019年8月29日 21時
