ざわざわ sideマキノ ページ16
Aちゃんが、鬼に攫われてしまった。
この１週間ちょっとのリアル実況の中で、彼女はとても優しい子なんだと知った。眠ってばかりの僕にさえ細々と気遣ってくれるし、言葉や行動の端々からとても暖かい人柄が伝わるから。
……でも、Aちゃんは、自分自身の事には酷く無頓着だった。第3ステージで手のひらを怪我したときも、第4ステージが終わった翌朝泣き腫らした目をしていても、『大丈夫です』と笑ってごまかしてしまう。僕ら8人の事はとても心配してくれるのに、自分自身の事はないがしろで………たくさん優しさを貰った身としては、そんなAちゃんを見て見ぬふりをするのは気が引けて。だからこそ生け贄役を決めるときに彼女が生け贄になるのに反対した。生け贄になれば絶対に無茶すると思ったから。
なのに、結局鬼の子が狙っていた2人のうち片方はAちゃんで、カリンちゃんと一緒に連れ去られてしまった。お供を希望したアカツキ君も一緒だけれど、3人じゃあチート級の鬼には勝てないだろう。
ユズちゃんがアカツキ君のカードに発信器をつけていたお陰で鬼の屋敷の位置が分かったから、3人を助けることになった。
残った僕らの中からはカイコッ君とザクロ君が鬼の屋敷に向かうらしい。とにかく、3人の救出が最優先だと言っていた。
………無事で、居てくれると良いんだけれど、もし食べられたりしていたら？
もし酷い目に遭わされていたら？
他人を優先するAちゃんの事だから、そうなったら自分の事なんて簡単に粗末にするんじゃないかと思うと、胸の奥がざわざわする。
「………マキマキ、寝ないのか？」
ユズちゃんが声をかけてきた。
確かに眠いけれど、眠いんだけど、
「……Aちゃん、大丈夫、かな………？」
こんなざわざわした気持ちのままでは、なんとなく寝づらくて。
「……そうか。くーろんの事、心配なんだな。」
心配。
そっか、僕はAちゃんの事が心配なんだ。誰かの身を案じるなんて殆ど初めてだから、自分では分からなかったけど。
Aちゃんが置いて行った手帳は、僕が持っている。……無事だと、良いな。ちゃんと、返したい。
「あっきーもカリリンもくーろんも、皆強いからにゃ。きっと簡単にはやられないさ。だからマキマキはひーみんとアン坊とここで皆の帰りを待っててあげてくれ。……ボクはシアターに行って来る。」
……ユズちゃんも、心配なんだね。
頷いて了承すると、彼女は足早にタワーに戻って行った。
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ユキヨル(プロフ) - 厘さん» ありがとうございます(*´-`)免疫かき集めて更新していきます！ (2019年8月30日 20時) (
レス) id: b49c625d58 (このIDを非表示/違反報告)
厘 - お身体に気を付けて、更新頑張ってくださいね！ (2019年8月30日 14時) (レス) id: 4d8a897ec9 (このIDを非表示/違反報告)
厘 - 続編おめでとうございます〜！逢河くんの小説少ないので本当に嬉しいです！チートや鈍感過ぎるとかそういう夢主じゃないのが特にいいですし、ちゃんと考えて書かれているなとよく思います！時々逢河くんが怒ったりしてるのもすごく良くて… (2019年8月30日 14時) (レス) id: 4d8a897ec9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユキヨル | 作成日時：2019年8月29日 21時
