卵と第一声 ページ4
伊奈葉さんと少し会話した後、全員で納屋に卵を運び込んで、取り扱い説明書を読む事になった。
「ええと、『ときめきエッグ』は育成者の嗜好を汲み少女の容姿や性格を決めます……。孵化は温め始めてからおよそ1時間。」
「早いですね」
伊奈葉さんと入出さんが卵に近づきつつ説明を読み上げる。
「温めながらどんな子にしたいかお願いすればいいんですかね。」
「はい。」
「つーか何で卵生なんだよ。つくづくあいつの趣味きめぇ。」
「赤ちゃん渡されるよりマシな気もしませんか駆堂さん。」
「地獄絵図じゃねぇか。」
入出さんたちは楽しげだが、駆堂さんはまだ気乗りしなさそうだ。逢河さんはうとうとしている。
……卵生って言うのもそれはそれで不気味だが、子育て(ガチ)は勘弁して欲しい。子供は好きだけれどこの面子で子育ては絶対に大変だ。
「温める……だと、こうですか！ほりゃほりゃ。」
入出さんが卵に抱きつき始める。
「あの……熱源が足りないかもしれません。鶏の有精卵でも38度前後で温めますから……。こんなに大きい卵なら多分もっと……。」
「そこの準備室に何か無いでしょうか？」
言うが早いか入出さんは準備室に飛び込んで行った。
「せんせー。ストーブ見つけました。」
「暖炉と一緒につけましょう。湿度も必要なのでお湯を沸かして周りに置いて……あと、たまに卵を転がさないと。」
「めんどくせーな。風呂場で茹でりゃ良いじゃん。」
一緒にお湯を沸かしてくれつつ、駆堂さんが文句を零す。
「釜茹でなんて可哀想じゃないですか。卵の中で身動き取れないのに。」
「お……。」
突っ込んだその時、ふと、逆隣の逢河さんが口を開いた。
「お……。」
「……おぉ……？」
その場にいる皆の注目を一身に集めている事を知ってか知らずか、逢河さんがそのままポツリと呟く。
「温泉卵…………。」
次の瞬間、お湯が沸いたヤカンの間の抜けた音が響き渡った。
「……テメー、第一声ほんとにそれでいいのか。」
なんとも言えない空気感の中駆堂さんが律儀にツッコミを入れてくれる。
「チン………。」
「お前もう喋んな。」
「レンジでチン。」
「あぁ、有名ですよねレンチン温泉卵。恐らく今回の卵の中身は人間ですけど。」
「チンしたら美少女爆発しませんか。」
「……電波系が増えやがった。」
駆堂さんが面倒くさげに呟く。
「アフロ」
珍しく逢河さんの口数が多いな、なんて思っていたら
「だめです！！」
伊奈葉さんが叫んだ。
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ユキヨル(プロフ) - 新埜さん» ご指摘ありがとうございます！！非公開になってるのに気がつきませんでした……公開にしておきます！！ (2019年8月26日 18時) (
レス) id: b49c625d58 (このIDを非表示/違反報告)
新埜(プロフ) - ユキヨルさんのお話、文才が凄くて面白いです！！あとすいません、おそらくですが、鮮血湯煙事件のとこ、1話目が非公開になっていると思いますよ!! (2019年8月26日 17時) (レス) id: a85fd0d46b (このIDを非表示/違反報告)
ユキヨル(プロフ) - 林檎さん» ありがとうございます(*´ω｀*)体調気を付けますね！ (2019年8月24日 18時) (レス) id: b49c625d58 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - 更新頑張りながら体調にも気をつけてきださいね！ (2019年8月20日 10時) (レス) id: eadb533606 (このIDを非表示/違反報告)
ユキヨル(プロフ) - Sayakaさん» なるべく毎日更新出切るように頑張りますo(･ω･o) (2019年8月20日 10時) (レス) id: b49c625d58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユキヨル | 作成日時：2019年8月19日 14時
