逃げる ページ19
「……ん、A、ちゃん……？」
今日はいつもより動いていた分、とても疲れていたのだろう。いつもより緩慢な動作で目を覚ました逢河さんの手を握る。
「文句は後で聞きます。逃げましょう！！」
「？、………！？」
「周り見て下さい！このままじゃあれに食べられます！！！」
手を引いて走り出す。幸いにも私は体育の評価は割と高い方だ。
「良いって言うまで絶対に手を離さないで下さいね。」
頷いた逢河さんが手を握り返してくれたので、全速力でミミクリーをかわし路々森さんたちの元へ走った。
「くーろん、マキマキ！こっちだ！」
「入出さんと駆堂さんは！？」
「2人は分断されて迂回中だ！」
成程。2人一緒なら多分大丈夫だろう。
7人でミミクリーをかわしながら逃げるというのはかなり困難だった。鬼ヶ崎さんと忍霧さんだけでは捌ききれないところもあるし、非戦闘員が多いのも痛い。
頭上からミミクリーが攻撃を仕掛けてきた。
生憎戦闘要因2人は前で応戦中、非戦闘員が後ろに続いていた形だからちょっとまずい。
「あぁもう……！！」
繋いでいない方の手でポケットをまさぐり、伸ばされた蔓に簪を突き刺す。
水色の石がきら、と揺れた。
まさか刺されるとは思っていなかった(思考があるかは不明だが)ミミクリーが怯んだ隙に簪を引っこ抜き、また走る。
「食料庫でしたよね。もう少しです……！」
もう少しで目的地だ。
その時、
ふと、人影が視界の端を過った。
白髪の、背の高い人物。
一瞬の出来事だったから確証なんてないけれど、
あれは、まさか────
「見間違い、ですよね……？」
だってここに、あんなグロテスクな植物が蔓延る中心部に、あの人が、ユキヒナが居るわけがないのだから。
食料庫に辿りつき、私達は取り敢えず籠城に成功した。逢河さんは手を離すと同時に寝始めて、他の皆も割と落ち着きを取り戻していた。でも私は、一瞬見えた人影が頭から離れてくれなかった。
背の高い白髪の人物。
正直、私の中の兄の姿は失踪した当時のまま止まってしまっている為、今兄が生きているとしてもその姿は想像するくらいしかできない。
でも、でも、あれは。
………考えたってしょうがない。パカさんは『殲滅』と言っていたのだからどのみちミミクリーと戦わないといけない事に変わりはない。ならばその時にでも確認してみれば良いだろう。
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ユキヨル(プロフ) - 新埜さん» ご指摘ありがとうございます！！非公開になってるのに気がつきませんでした……公開にしておきます！！ (2019年8月26日 18時) (
レス) id: b49c625d58 (このIDを非表示/違反報告)
新埜(プロフ) - ユキヨルさんのお話、文才が凄くて面白いです！！あとすいません、おそらくですが、鮮血湯煙事件のとこ、1話目が非公開になっていると思いますよ!! (2019年8月26日 17時) (レス) id: a85fd0d46b (このIDを非表示/違反報告)
ユキヨル(プロフ) - 林檎さん» ありがとうございます(*´ω｀*)体調気を付けますね！ (2019年8月24日 18時) (レス) id: b49c625d58 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - 更新頑張りながら体調にも気をつけてきださいね！ (2019年8月20日 10時) (レス) id: eadb533606 (このIDを非表示/違反報告)
ユキヨル(プロフ) - Sayakaさん» なるべく毎日更新出切るように頑張りますo(･ω･o) (2019年8月20日 10時) (レス) id: b49c625d58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユキヨル | 作成日時：2019年8月19日 14時
