嫌な予感 ページ17
タワーに帰りついた頃には伊奈葉さんも大分落ち着き、涙も止まっていた。皆はそのまま共有スペースへ直行していったが、私は1度個室に戻ることにした。
「………嫌な予感が、するんですよねぇ。」
忍霧さん………はどうだか知らないが、鬼ヶ崎さんはルール違反を犯していそうな気がする。あくまで『そんな気がする』だけだが、可能性はあるだろう。あの人奔放そうだから。
これが杞憂なら良いのだが、もし本当に鬼ヶ崎さんたちがやらかしていた場合は……、白の部屋行きとは言われていなかったから、恐らくだが危険の伴う第4ステージでも実況させられるのだろう。
「護身用に、何か…………。」
ポケットに何か忍ばせておけないかと机を漁る。確かここに………。
「あ、あった………。」
手に取ったのは、かつて伯父がくれた金属で出来た簪だ。
『Aは髪が長いからな。纏めるのに便利かと思って。おっさんが簪屋なんて恥ずかしかったんだぞ〜。』
そんな風に笑いながら手渡してくれた簪、それを見た兄が
『危険な目に遭ったら投擲も出来るしね。簪は便利だよ。』
と呟いていたのを思い出す。
「……投げたくは、ないんですけどねぇ。」
飾り気のない土台に、それぞれ色の違うランダムカットのイミテーションジュエルが1つぶら下がったシンプルな簪が5本。確かに攻撃力はありそうだがこれは大切なものだ。あまり粗末に扱いたくはない。
とりあえず一纏めにしてハンカチで包み、ポケットに入れておくことにした。もし使うときが来たなら1本ずつ引き抜いて使えばいい。
それに、あくまで念のため、だ。
共有スペースに戻ると、何故か全員揃っていた。何をしているのだろう？
「……何かあったんですか？」
「あ、Aさん！えっとですねー、忍霧さんたちが話したいことがあるって………。」
殆ど皆がソファに座っていて、その皆を見渡せる位置に鬼ヶ崎さんと忍霧さんが立っている。
あーーーーーーーー……………。
まさかね？ほんとにやらかしてる？
「……憶測ですが、まさかタワー50階層以上に行きましたか？」
「…………！」
とりあえず空いていた逢河さんの隣に腰掛けつつ訪ねてみると、忍霧さんの瞳が僅かに見開いた。
これはビンゴですね！！何やってるんですかお2人！？
「そうさな。俺達は────」
ドゴォォォォォォォン！！！
鬼ヶ崎さんの言葉は最後まで続かなかった。
突如2人の背後の壁が崩れ、見たこともない植物が姿を表したからだ。
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ユキヨル(プロフ) - 新埜さん» ご指摘ありがとうございます！！非公開になってるのに気がつきませんでした……公開にしておきます！！ (2019年8月26日 18時) (
レス) id: b49c625d58 (このIDを非表示/違反報告)
新埜(プロフ) - ユキヨルさんのお話、文才が凄くて面白いです！！あとすいません、おそらくですが、鮮血湯煙事件のとこ、1話目が非公開になっていると思いますよ!! (2019年8月26日 17時) (レス) id: a85fd0d46b (このIDを非表示/違反報告)
ユキヨル(プロフ) - 林檎さん» ありがとうございます(*´ω｀*)体調気を付けますね！ (2019年8月24日 18時) (レス) id: b49c625d58 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - 更新頑張りながら体調にも気をつけてきださいね！ (2019年8月20日 10時) (レス) id: eadb533606 (このIDを非表示/違反報告)
ユキヨル(プロフ) - Sayakaさん» なるべく毎日更新出切るように頑張りますo(･ω･o) (2019年8月20日 10時) (レス) id: b49c625d58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユキヨル | 作成日時：2019年8月19日 14時
