藍よりも深く【夕闇に誘いし漆黒の天使達】

煙。7 ページ38

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ともやの考えることがわからない。

今だって


ともや「A〜、どの色がいい？」

『えー？？あーそれじゃない？』

6色展開の新作のTシャツを並べて吟味していたともやが急に私に問いかけるので、パッと目に入った黄色のTシャツを指差す

ともや「笑 メンバーカラーやw」

じゃあこれだな、着替えていいっすか？とTシャツを買ってすぐに試着室に入っていった。


なんで、そんなに楽しそうなの。




店長とスタッフに挨拶をして、外に出るとすっかり辺りは暗くなっていた。



二人とも無言で車に乗り込む。


ともや「はいこれ」

ぶっきらぼうにバサっと膝に置かれたのは、さっき買っていたTシャツが入った袋だった。

ああ、荷物持ってろってことね。

そのまま膝にその袋を乗せているとなかなか車が走り出さないので、不思議に思って隣にいるともやを見上げた。



ともや「なんだよ、開けろよ」

『え？これともやのでしょ？』

ともや「〜、いいから」


そう言われて、おそるおそるその袋をあけると、
中にはさっきともやが買ったTシャツとは別の色のTシャツが入っていた。


ともや「お前もどうせ買うんだろ？」

『買うけど…』

ともや「買っといたわ。今日のお礼」

なんのお礼…と聞こうとすると、ちょうど車が走り出して！聞けずじまい。

『ありがとう…またお揃いになっちゃうじゃん』

ともや「別の日に着ろよ」

『わかんないよ、ともやがいつ着るか』

ともや「ラインすりゃいいだろ」

『わざわざ』

ともや「わざわざ」


笑いも起こらないその会話が一旦終わった。


窓の外をすり抜けていく色とりどりの看板を横目で眺めて、ポツリ、呟く。


『ライン、ブロック、しちゃってた』

ともや「…だろうな」

『だから知らなかった、連絡くれてるの』

ともや「店長か…本当にあの人は……」



『ともやは…』

ともや「ん？」

『ともやは、何考えてるか、わかんない』



今だって



あの、雨の109に置き去りにした
あの日だって




ともやはいつも、何も言わない。



あの雨の日で
ずっと私は立ち止まってる。



ともや「…ちょっと話すか」



そう呟いて、ともやは広い駐車場のあるコンビニに車を止めた。





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