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今日は一日中、殆ど無意識で過ごしていた。あまりにもショックで何も考えられず、口にも出せない。こんな時、スンミンが隣にいてくれたらいいのに。下校中も一人で、スンミンとソヨンちゃんが話している横を素通りして、やっとの思いで家まで帰ってきた。今までは放課後、スンミンの家に転がり込んで、一緒にゲームして、勝手に寝て、馬鹿騒ぎしていたのに、たった一日で、こんなに人生が虚しいものに変わってしまうものなのか。
『ただいま』
「おかえりー。夜ご飯何がいい？」
絞り出した声でリビングへと声をかけると、キッチンで皿を洗っていたお母さんがそう言う。
『あー……今日、友達とカラオケ行くんだよね。だから、夜ご飯いらない。ごめん、言ってなくて』
息を吐くように嘘をついて、お母さんの返事も聞かずに、カバンからスマホだけ取って外に飛び出した。勢いで履いてきた靴は、スンミンから借りたままのサンダルだった。
季節的に、空が暗くなるのが早い。先程までは橙色だった空が、気がつけば黒く染まっていた。勢いに任せて走ってきてしまって、どこまで来たのかもわからない。スマホで現在地を確認しようとするも、電波が悪く、ロード中から進んでくれなかった。
頬に、ポツリと水が垂れてきた。……雨だ。最悪だ。電波も繋がらない、財布も持っていないのに、雨だなんて。傘も買えないし、とにかく、雨宿りするしかない。段々雨も強くなってきて、屋根のある場所を探そうと、走り出そうとした時、グッと手を引かれた。
『っえ？』
「こんな雨の中、女の子が1人？」
私の手を引いたのは、見知らぬ男性だった。お世辞でも、若いとは言えないような。
『あの……』
「家においで、無料で泊めさせてあげるよ」
『いや……！』
怪しいと思い、手を振りかざそうとしているのに、おじさんは離そうともせず、むしろ力を強めて私の手を引っ張ってくる。やばい、このままじゃ、連れられる。
『や、やめてくださ……』
「おじさん、その子、離して」
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作者名：ぷぷぴぴ | 作成日時：2024年4月7日 4時
