大空568 ページ34
Noside
「ハジメさん！そんな態度取るなら、串焼き肉あげませんよぉ！」
そして、最近更にへこたれなくなったシア。
ハジメのツンな発言にも大抵はビクともしない。
衝撃を受けても直ぐに復活して強気・積極的なアプローチを繰り返すようになった。
「……いや、何でもない」
「シア〜？『押してダメなら引く』作戦は悪くないけど、恋人がいる相手には逆効果だよ〜？というわけではい、ハジメくん、あ〜ん」
「あ〜んっ。アムッ、ハムッ」
香織から差し出された肉をパクッと加えると無言で咀嚼するハジメ。
それを見て慌てるシア。
「あっ！ず、ずるいですよ！香織さん！ハ、ハジメさん！私もあ〜ん」
「……ん。私もあ〜ん」
シアに便乗する形でユエも手に肉を持ってシアとともに差し出す。
ハジメは香織のほうを横でチラ見すると香織は「まぁ、それくらいなら」と肩を竦めた。
香織の了承も得たことでハジメはため息をつきながらもユエ、シアの順に差し出された肉を食べた。
それを見て嬉しそうにするユエとシア。
そして、それから、香織、ユエ、シアの順にローテーションで「あ〜ん」からの咀嚼を繰り返した。
本人の主観はさておき、客観的にその様子を見せつけられている男たちの心の声は見事に一致しているだろう。
すなわち「頼むから爆発して下さい！！」である。
内心でも敬語のあたりが彼等とハジメの力関係を如実に示しており何とも虚しい。
ハジメが差し出された肉を食べ終えるのを確認するとシアが「それにしても……」と苦笑いしながら、ある方向を見た。
そこには……
「燭台切君と歌仙君の作った料理美味しいわぁ〜」
「燭台切君、歌仙君。他の男共と違って気遣いできるし強いし万能だしイケメンだし。
しかも、ハジメ君と違ってフリーみたいだし、私狙っちゃおっかなぁ〜？」
「あっ！ずるい！抜け駆けはダメよ！ねぇ、町に着いたら、私とデートしない？」
「あんたもちゃっかり誘ってるじゃない！ねえ、私と行こうよ？」
左手をズボンのポケットに突っ込ませながら、反対の手に持つお玉でシチューモドキの鍋をかき混ぜている燭台切光忠と歌仙兼定の周りに集まっている女冒険者たち(一部男)がいた。
「ごめんね、僕よりかっこいい人はちゃんと居るから諦めてくれないかい？それに僕と歌仙君には忠誠を誓ってる人が居るからね(ニコ」
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