大空566 ページ30
Noside
そして翌日早朝。
どうやらハジメたちが最後のようで、まとめ役らしき人物と13人の冒険者がやって来たハジメたちを見て一斉にざわついた。
「嬉しさと恐怖が一緒くたに襲ってくるんですけど！」
「見ろよ、俺の手。さっきから震えが止まらないんだぜ？」
様々な反応をされて、ハジメとカエデとスクアーロが嫌そうだったり面倒くさそうな表情をしながら近寄ると、商隊のまとめ役らしき人物が声をかけた。
「君たちが最後の護衛かね？」
「ああ、これが依頼書だ」
ハジメは、懐から取り出した依頼書を見せる。
それを確認して、まとめ役の男は納得したように頷き自己紹介を始めた。
「私の名はモットー・ユンケル。この商隊のリーダーをしている。君たちのランクは未だ青だそうだが、キャサリンさんからは大変優秀な冒険者と聞いている。道中の護衛は期待させてもらうよ」
「……商隊のリーダーって大変なんだね……」
日本のとある栄養ドリンクを思い出させる名前に、ハジメの眼が同情を帯びる。
なぜ、そんな眼を向けられるのか分からないモットーは首を傾げながら、「まぁ、大変だが慣れたものだよ」と苦笑い気味に返した。
「まぁ、期待は裏切らないと思うぞ。俺はハジメだ。こっちは香織とカエデとヨミとスクアーロとユエとシア」
「それは頼もしいな……ところで、この兎人族……売るつもりはないかね？それなりの値段を付けさせてもらうが」
モットーの視線が値踏みするようにシアを見た。
兎人族で青みがかった白髪の超がつく美少女だ。
商人の性として、珍しい商品に口を出さずにはいられないということか。
首輪から奴、隷と判断し即行で所有者たるハジメに売買交渉を持ちかけるあたりきっと優秀な商人なのだろう。
その視線を受けて、シアが「うっ」と嫌そうに唸りハジメの背後にそそっと隠れる。
「ほぉ、随分と懐かれていますな……中々、大事にされているようだ。ならば、私の方もそれなりに勉強させてもらいますがいかがです？」
「ま、あんたはそこそこ優秀な商人のようだし……答えはわかるだろ？」
シアの様子を興味深そうに見ていたモットーが更にハジメに交渉を持ちかけるがハジメの対応はあっさりし揺るぎない意志を込めた言葉をモットーに告げる。
「では、あなた達が持っている刀を売るつもりはありませんか？それなりの値を付けますけど？」
「悪ぃな、この刀達は俺にとっては命の次に大切なものなんでな」
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