大空564 ページ26
Noside
「おい待て、コラ。いろいろとツッコませろ。
奪ったのはお前だし仮にお前にキスの経験が無かったとして、お前のファーストキスの相手は香織だろ」
とんでもない冤罪をふっかけられそうになったハジメは青筋を浮かばせながら指摘した。
しかし、シアは自分のウサミミを押さえつけて、ハジメの言葉を聞こうとしなかった。
「聞きたくありませんし、認めたくありません！私のファーストキスの相手が同性の香織さんなんて！私にそっちの趣味はありませんよぉお！」
「それはどういう意味かな？かな？……って、あなた、意識あったの？」
シアのあんまりな言葉に香織は青筋を浮かばせながら尋ねた。
「う〜ん、なかったと思うんですけど……何となく分かりました。香織さんにキスされているって、それで少しショックを受けていたら、目の前にハジメさんがいましたし、せっかくなのでハジメさんの唇で上塗りしようかなと……あのハジメさん？香織さん？なぜ、武器を持っているのですか？」
シアが話している途中からそれぞれドンナーと杖を取り出すハジメと香織。
「テメェも口直しでやってんじゃねぇかぁあ！」
「命助けたのにそれはどうなのかな！？」
「ひぇええーーーー！？」
ハジメと香織はキレてシアにお仕置きをしようと襲いかかった。
命を救ってくれた香織に対してそれは無いだろう。
「……今だけ……でも、シアは頑張っているし……いや、でも私もハジメとキスなんて全然していないし……」
「……ダメだ、聞いてねぇな」
虚空を見つめたまま未だブツブツと呟くユエに、こっちもダメだとため息を吐くスクアーロ。
そして、近くでカエデたちの様子を伺っていたクリスタベルたちへ視線を移した。
「お、お邪魔しましたぁ！ど、どうぞ、私たちのことは気にせずごゆっくり続きを！」
結果、自分たちのいる場所が、ブルックの町から一日ほどの場所にあると判明しカエデたちも町に寄って行くことにした。
クリスタベルの馬車に便乗させてくれるというのでその厚意に甘えることにする。
濡れた服を着替え道中、色々話をしながら暖かな日差しの中を馬の足音をBGMに進んでいく。
新たな仲間と共に、2つ目の大迷宮の攻略を成し遂げたカエデたち。
��ヨミのご先祖さま、サリナ・ジッリョネロの遺した石��という謎はあるがひとまず、2つ目の神代魔法を手に入れたことに満足だった
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