虹空490 ページ27
[Noside]
「手を出してくれ、オスカー・オルクスの指輪だ」
ハジメは指輪を出し、長老に渡す。
指輪を見た長老は驚いた顔をした。
「この紋章はまさしく…。
成程、信じ難いがオスカー・オルクスの隠れ家に辿り着いているようだ。
よかろう、フェアベルゲンに来るがいい。私の名で滞在を許そう」
「ちょっと待て。俺達が用があるのは大樹だけだ」
「フェアベルゲンに興味は無い。問題無いならこのまま進ませてもらう」
「いや、それは無理だ」
「なんだと?」
ハジメが理由を問うと兎人族から聞いてないのか、という視線を向けられながらも説明された。
「大樹の周囲は特に霧が濃くて亜人族でも方角を見失う。一定周期で訪れる霧が弱まった時でなければならん。…亜人族なら誰でも知っているはずだが…」
その言葉に全員が兎人族…の族長であるカムを見ると「あ、忘れていた…」とでも言いそうな顔をしていた。
「「…おい、どういうことだ?」」
「あっ…え…いや…なんと言いますか…色々ありましたしつい忘れていたというか…その…ええいお前達!
何故途中で教えてくれなかったのだ!」
「な…父様、逆ギレですか!?
私は父様が自信たっぷりだったからちょうど周期なのかと…」
「そうですよ僕達もおかしいなと思っていたけど族長が…」
「お前達それでも家族か!?これはそう…連帯責任だ!!」
「父様汚い!」
「あんたそれでも族長か!?」
次の瞬間、不毛な言い争いをしていたハウリア族は全員、ハジメとカエデの拳骨を食らっていた。
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