大空482 ページ12
宗三左文字side
ウサミミ42人をぞろぞろ引き連れて峡谷を行く。
当然、数多の魔物が絶好の獲物だとこぞって襲ってくるのだが、ただの1匹もそれが成功したものはいなかった。
例外なく、兎人族に触れることすら叶わず、接近した時点で閃光が飛び頭部を粉砕されるからである。
兎人族たちはそれを成し遂げている人物であるハジメと主と主の友人に対して畏敬の念を向けていた。
もっとも、小さな子供たちは総じて、そのつぶらな瞳をキラキラさせて圧倒的な力を振るう3人をヒーローだとでも言うように見つめている。
「ふふふ、ハジメさん、カエデさん、スクアーロさん、チビッコたちが見つめていますよ〜手でも振ってあげたらどうですか?」
子供に純粋な眼差しを向けられて若干居心地が悪そうなハジメに、シアが実にウザイ表情で「うりうり〜」とちょっかいを掛ける。
額に青筋を浮かべたハジメは、取り敢えず無言で発砲した。
「あわわわわわわわっ!?」
非致死性のゴム弾が足元を連続して通過し、奇怪なタップダンスのようにワタワタと回避するウサギ少女
道中何度も見られた光景に、ウサギ少女の父カムは苦笑いを、ユエは呆れを乗せた眼差しを向ける。
「はっはっは、シアは随分とハジメ殿を気に入ったのだな。そんなに懐いて……シアももうそんな年頃か。父様は少し寂しいよ。だが、ハジメ殿なら安心か……」
すぐ傍で娘が未だに銃撃されているのに、気にした様子もなく目尻に涙を貯めて娘の門出を祝う父親のような表情をしているカム。
周りの兎人族たちも「たすけてぇ〜」と悲鳴を上げるシアに生暖かい眼差しを向けている。
「いや、てめぇらこの状況見て出てくる感想がそれか?」
「普通、怯えるか怒るかだろ」
「……ズレてる」
「俺達はこれ以上だがな」
ユエの言う通り、どうやら兎人族は少し常識的にズレているというか、天然が入っている種族らしい。
そうこうしている内に、一行は遂にライセン大峡谷から脱出できる場所にたどり着いた。
ハジメが何となしに遠くを見ていると、ウサギ少女が不安そうに話しかけてきた。
「帝国兵はまだいるでしょか?」
「ん?どうだろうな。もう全滅したと諦めて帰ってる可能性も高いが……」
「そ、その、もし、まだ帝国兵がいたら…皆さんは…どうするのですか?」
「「殺す」」←カエデ、スクアーロ
「話し合いたいですが…出来ない場合は拳ですよ」
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