虹空057 ページ36
[Noside]
コナンも水槽のガラスを簡単に斬ったスクアーロを気にしていた。
「まさかと思うが、あいつらの仲間か?」
「いいえ、それは違うと思うわ」
確かに灰原も一瞬だけ組織の人間だと思った。
だが、一緒に別の何かも感じた。
「(あの人は組織達より黒く恐ろしく感じた。でも何故か安心も出来る気配だった…)」
矛盾した事を思った灰原は鼻で笑う。
「(バカね、組織よりも恐ろしい気配だったのにどうして安心も感じたのかしら?)」
苦笑しながら灰原は、彼らがたまに口にするボンゴレの言葉を思い出す。
灰原は組織にいた時に何処かで聞いた様な事があったのを薄っすら覚えていた。
だがイタリア語でボンゴレは貝のこと。
貝にどんな意味があるのかが分からない。
でも彼らが頻繁に言うのと、組織内で聞いた事で、どうしても引っかかるのだ。
「(誰から聞いたのだったかしら?)」
『イタリアに向かうならボンゴレの人間には気をつけろ』
「ーーっ!?」
灰原は誰が言っていたかを思い出した。
聞いたのは偶然だった。
灰原がまだ組織の人間として過ごしていた時だった。
組織内にある研究室へと向かっている途中、ジンが男の人と話しているのを目にした。
耳に入って来た内容は男がイタリアに潜入するらしく、ジンが男に忠告していたのだ。
灰原はこの事をコナンに話すべきか考える。
綱吉達がジンが警戒する人間達と無関係とは言えない。
コナンなら何か分かるかもしれない。
灰原はコナンに言った方が良いと結論を出し、口を開ける。
「江戸川君、彼らがよく口にする……」
「……〜〜っ!」
その時、目の前にある曲がり角から剣幕な声で誰かと話し合っているのが聞こえて来た。
「(この声は・・)
灰原こっちだ」
「え、ちょっと・・・!」
コナンは灰原の手を掴むと通路にある柱に身を屈めて隠れた。
柱は大きく、子供2人くらい簡単に隠せれた。
隠れるの同時に曲がり角から2人の女性が現れた。
「クローム、起きたばかりなのに走ったら転けるわ」
「でも早く会場に行かなきゃ」
現れた女性はビアンキとクロームだった。
クローム達は隠れているコナン達に気づかず通路を歩き続ける。
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