大空437 ページ31
NOside
「そういえば、陸奥守。俺達と話がしたいと言っていた奴らは?バタバタしてて忘れていたんだが…」
「あ…」
「お前もか」
「しもうた!行ってくる!!」
おにぎりをバクッと食べると陸奥守はタタタッと駆けて行った。
「誰かな?主さんと話したいって言ってるの」
「陸奥守から一応聞いてるぞ。博多と五虎退。次郎太刀に堀川だそうだ」
「「堀川!?」」
「国広!?あいつも主の良さに気づいたか!」
カエデから出された名に加州と安定は顔を見合わせる。
「どうしたんだ?」
「いや…堀川には、兼さんがいるからさ…此処の」
「なるほど…此処の俺か」
「あいつは、主のこと信用してないし、一番反発してるから…」
心配そうに俯く2振。
その矢先。
「主ーーーーー!!!!」
全「「「「っ!」」」」
ゼェゼェと肩で息をしながら戻って来た陸奥守。
その服は、なぜか少し赤が滲んでいた。
「主!!とにかく、はよぅ来てくれ!!堀川達が…!!」
陸奥守の必死な声は、すぐにカエデとヨミを立たせた。
「ここぜよ!」
陸奥守の案内でやって来た部屋に、カエデ達は駆け込んだ。
そして、息を呑んだ。
そこには、目も当てられないほどの姿に変わり果てた堀川、次郎太刀、博多、五虎退がいた。
中傷であったはずの4振は、真新しい傷をつくり、おびただしい量の血を垂れ流していた。
「堀川!!」
「堀川ぁああ!」
「兄弟!!」
「国広!!」
「次郎!しっかりしなさい!次郎…!」
「博多!おい!博多!!」
「五虎退!返事をしろ!五虎退!!!」
「そんなっ……」
「五虎退…博多……!」
「目を…目を開けてください!」
4振の関係者達が急いで駆け寄る。
「誰かに襲われたみたいぜよ…すまん…!わしが、わしがはよぅ来ていれば!」
悔しそうに謝罪する陸奥守。
「君は悪くないよ。謝る必要はない」
「けど…!」
「それよりも、これをやった奴探すのが先とちゃいます?」
陸奥守の言葉を遮るように明石が声を上げた。
「やった奴もそうだが、まずは4振だ」
「主!国広が…!」
「落ち着け。大丈夫だ」
「でもっ!この傷じゃ…」
もう諦めたような彼らの肩に、ポンッと手が置かれる。
「4振を俺の指示通りに動かしてくれ。
ただし、慎重にな。
折れる寸前だが、助けられる。
全員、気を緩めるなよ」
カエデの冷静な声に、その場にいる全員が頷いた。
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