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帰ってきました東京。
兵庫ではただただ楽しかったの一言。
たったの3日間にも関わらず帰る時には寂しいと言ってくれた先輩達。
本当に良い人達ばかりで、先生には感謝しなければならない。
侑君とも連絡を取り合っていて、絶対東京に遊びに行く、と言っていた。
学校に着き靴を履き替える。
そういえば飲み物持ってきてなかったな
自販機に向かうと見覚えのある後ろ姿。
『佐久早君!おはよう』
佐「はよ」
『朝練お疲れ様』
佐「ん」
いつも飲んでいるお茶のボタンを押し取り出そうとしたその時、突然手を掴まれる。
佐「おい、なんだよこれ…」
『え?』
佐「手、怪我したのか?」
手にはまだ湿布を貼っていた。
痛みもないし腫れも引いたのだが、打撲の様なアザが出来ていて見苦しいかと思い、隠すために湿布をしていた。
『ドアに挟めちゃって…もう痛みはないんだよ、腫れも引いたし』
へへへ、と笑って見せても変わらずのしかめっ面に困惑する。
佐「…本当か?」
『うん、アザ出来ちゃったから隠してるだけ』
そう言うと掴んでいた手を優しく撫でる佐久早君。
佐「跡残るのか?」
『大丈夫、保健室の先生も言ってたし』
佐「…ちゃんと病院で診てもらえよ」
『……佐久早君、もしかして怒ってる?』
先程から苛立ちが見え隠れしていた佐久早君。
表情に反して撫でる手つきは優しいので不思議な感じだ。
佐「…当たり前だろ、ピアノ弾けなくなったらどうすんだよ」
『それは大丈夫だよ(ピアノの心配か、ちょっと残念)』
佐「…それと」
『?』
佐「………………女なんだし…綺麗な手に、跡とか残ったら勿体無い、だろ」
そっぽを向き顔を赤くして言う佐久早君につられてたぶん私も赤くなっている。
おかしいな、侑君にも同じこと言われたけど全然違う…凄く嬉しい。
心配してくれた事?綺麗って言われた事?女の子扱いしてくれた事?
全部だ、全部嬉しい。
『そ、そうかな…』
佐「顔、赤いけど……もしかして照れた?」
意地悪く笑い、顔をのぞきこむ佐久早君と目が合う。もう顔は赤くないみたいだ。
『!照れてない…よ!』
両手で顔を隠しガードするも、今度は楽しそうに笑う佐久早君に捕まってしまう。
佐「嘘」
『…佐久早君って、こんなことする人だっけ…』
佐「……するよ」
その時、
古「佐久早ー置いてくなよ〜…あっ三好ちゃんおはよ!」
古森君が現れ、挨拶をすると佐久早君は舌打ちをして教室に戻っていった。
私はまだ顔が熱い。
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作者名:にきい | 作成日時:2020年5月25日 23時