23 ページ24
「おはようさんAちゃん!」
『おはようございます!』
兵庫に来て2日目。
昨日はびっくりした。
ピアノを弾いた後、先輩達が号泣していて軽くパニックだった。
凄い、感動したと言われるのはやはり嬉しいものだ。
でも嬉しさと一緒に胸の奥がギュッとする自分に嫌気がさす。
そんなことを思っていたらバタン!という音と共に手に走る痛み。
『痛っ』
風で勢いよく閉まったドアに手を挟まれた。
「Aちゃん!大丈夫?!」
「挟まれたん?!赤くなっとる!」
黒「どないしたん?」
「Aちゃんドアに手挟まれたみたいで」
黒「真っ赤になっとる!痛いやろ?早よ冷やさな!!保健室行くで!!」
『あっ大丈夫です!1人で行けます!すみません…』
私の不注意でこんなことになってしまったのに、凄く心配してくれる先生と先輩達。
本当優しい人達ばっかりだな。
「何でAちゃんが謝るん!…1人で大丈夫なん?」
黒「保健室の場所わかる?」
『はい、大丈夫です、わかります。』
黒「……そやったらちゃんと冷やしてもらうんやで」
心配そうな声に笑顔を返す。
昨日体育館に向かう途中保健室があったのを思い出す。
ドアを開けると、右の頬を赤くしたアツム君がいた。
本当…バレー部って皆背が大きいんだね…。
『すみません、なにか冷やすものありますか?』
「あら、あなた黒田先生が言うてた子やね?どないしたん?」
『手を挟めてしまって…』
赤くなった手を見せる。
「あらあら痛かったやろ!ちょお待ってね、向こうから持ってくるから。…よし、宮君はもう大丈夫やで、練習戻り」
侑「ありがとうございました。」
そう言い先生は保健室を出ていった。
続いてアツム君も出ていくかと思いきや、動かず話しかけられた。
侑「なあ、あんた…むっちゃ上手いんやなピアノ。昨日見とったで」
『えっ…ありがとうございます。』
侑「東京から来たんやって?」
『そうです。(なんで知ってるんだろ)』
侑「高1?」
『はい。』
侑「タメやん!敬語やめてや!俺宮侑言うねん!よろしゅう!」
『そうなんだ…私三好A。よろしくね、宮君』
侑「宮君て…あかん聞きなれんから変な感じ!侑って呼んでや!」
『?わかった、侑君ね(コミュ力高いな)』
高コミュ力には高コミュ力で返さねばと笑顔で言う。
侑「ん゛ん゛(可愛ええ)」
『えっどうしたの?大丈夫?』
胸に手を当て俯く侑君。
先生もう大丈夫って言ってたけど、大丈夫そうじゃないよ。
182人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:にきい | 作成日時:2020年5月25日 23時